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原稿『神聖木曜日』他のこと [日記・雑感]

 このところ、自費出版の第二弾のために、原稿を推敲している。推敲しているのは私ではなく、N氏である。どういうことかと言うと、私が書いた文章について、事実かどうか彼が一つずつ確認して不正確な部分については訂正を求めてきているのだ。その指示に従って、私は打ち直し、原稿を印刷し彼に送る。しかし、この原稿は二十年以上前に書いたもので、彼も一度は読んでいて承知している作品なのだ。が、いざ、出版となると、彼は事実に拘っている。これは作品を仕上げるための喧嘩なのだ、と彼は予め手紙で書いて来た。私は正直、最初は面倒だと思った。腹も立った。一部には虚構も入っているが、これは私の作品だから訂正を求めないで欲しい、と言って突き放してしまう考えもあったのだ。が、虚構よりも事実の方が、どんなに些細な事実であっても遥かに面白く、説得力がある。他者の考えを私が代弁しても、おのずから限界があり、文章を俯瞰的に眺めるとどこかで矛盾が生じているはずなのだ。一方、書かれている本人がそれを読めば、自分の考えはそうではない、そのような言葉は使わないはずだ、そのような行動はとらない、等々、細部にわたって本人にしか語ることの出来ない事実を補足することができるのだ。今回はその典型的な例になっている。一応の最終稿を、明日には発送しようと思っている。(このインターネットの時代に、彼とは手紙および電話でのやり取りなのである。彼は、PCも持っていない。携帯電話やスマートフォンを持っているかどうか、尋ねたこともないが・・・)大変よい経験になっていることは間違いない。
 ちなみに、彼が二十年位前から書いていた劇団時代の短期アルバイトの思い出を、当初私は引用するつもりだったが、本文に関係しているようでありながら、事実関係を知らない人間が読んだ場合にはよく分からないと言う理由で削除した。十ページほどの引用だった。そのことは彼の気分を害していたのかもしれなかった。しかしながら、自分の知らない人間の、自分には興味の無いような事実の羅列を見せられることは誰も期待しないだろう。従妹に原稿のこの部分を読んでもらったら、よく分からないし、本文には入れないほうがよい、と言う率直な意見をくれた。私も、正直なところ付け足しながら、木に竹を接ぐような印象があったので、そのように彼に言ったあとばっさりと削除したのだった。
sunman 216-09-04 sundayDSCN3111.JPG 今日の絵は、二年前2014年にある程度描き、一昨年、昨年少し手をいれ、気に入らず、結局今回のような絵にしたのが、今年の最初のほうだったろうと思う。今日久々に画帳を開けてみて、この甲虫のような生き物が愉快だったので、公開する事に。題名は『元気な太陽君』。別段異常気象が続くからこのような絵になったわけでは全くないので、この太陽と現実の太陽とは関係がない。久々にB4判の画帳をめくっていたら、この絵が出てきて、その時には面白さを感じなかったのに、今日は愉快な気分になってので、このブログの絵に使うことにしたのだ。まるで正義の味方、ヒーローのようにさえ見えるではないか。
 完成ができない絵は何枚もある。こればかりはその気にならないとできない。
 ところで、先日電車のなかで変な生き物の絵を描いた。煙突のついているような生き物など。


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Enrique

文章の推敲は,削除の方が難しいかも知れません。
当事者は細部に拘りますが,第三者にとってはどうでも良いことということは良くありがちなことです。原稿の性質にもよるでしょうが,事実の正確な記述は重要な反面,主張したい事に合わせて事実を整理する事も重要なことだと思います。日記でない以上いずれ第三者の目は重要だと思います。
by Enrique (2016-09-04 15:54) 

mimimomo

フィクションかノンフィクションか、って感じになるのですかね、、、
書きたかったことが全然変わってしまうというようなことはないのでしょうか? ちょっと気になりました^^
by mimimomo (2016-09-05 07:23) 

Kanna

仲が良いお友達との共作でも、一旦手を付け始めるとなかなかニコニコ顔ではいかない事も多いですね^^
(私も過去2度ほど同じような経験があります 笑)
後々になれば、きっとそれも良い思い出になるはずですので、今が踏ん張り所といった所でしょうか(*^^*)
挿絵の方も面白いですね^^
なんとなく今のアヨアンさんの心?願望?を象徴しているような気がしました(*^^*)
by Kanna (2016-09-07 09:29) 

lamer

記憶は繰り返さないと忘れていくモノですね。
アヨアン・イゴカーさんの几帳面で真摯な姿勢が伺えました。
by lamer (2016-09-07 18:03) 

アヨアン・イゴカー

carotte様、Enrique様、森田恵子様、Mitch様、くらま様、夢の狩人様、般若坊様、扶侶夢様、ChinchikoPapa様、miffy様、めぎ様、mimimomo様、ビタースイート様、コミックン様、nandenkanden様、めもてる様、剛力ラブ様、りんこう様、かずのこ様、せとっこ様、いっぷく様、シラネアオイ様、kazg様、dumbo様、majyo様、ぼんぼちぼちぼち様、doudesyo様、caveruna様、siroyagi2様、さとふみ様、lamer様、schnitzer様、SILENT様、山子路爺様
皆様nie有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2016-09-11 16:24) 

アヨアン・イゴカー

Enrique様
コメント有難うございます。
事実の記載については、書く、書かないによって事実が大きく変わってしまうこともあるので、非常に神経を使います。我が家に彼が何回来たことがあるのが、私は覚えていませんでしたが、改めて彼に5回くらいは行っているはずだと言われるとその数字が大切に思えてきます。それほど我が家は当時は開放的だったのか、と。その回数が、書いている文章と関連性がどの位あるのか、と言われると、大勢には影響ないとも言えます。が、高校の歴史の先生が、書かれている事実の断片の読み取り方を示された時、私は自分の未熟さを大いに反省したことがあります。

mimimomo様
この作品は評伝です。事実や彼が考えていたことについては、引用がいくつもあります。解決方法として彼が事実を訂正して来た時は、注釈という形でまとめることにしました。

Kanna様
共作の積りはまったくなく、私が彼から聞いた事実を書いたのだと思っていました。20年以上も経ってから、いざ出版すると言うことになると、彼ももう一度真剣に読み直し、それこそ一文字一文字、事実は正確に、彼の考えも私の憶測で曲げられることがないように、そのように考えたのだと思います。当初の予定よりも1ヶ月位遅くなってしまいましたが、反対に彼がしっかりと読んでくれているので、安心している部分もあります。
挿絵、私の願望ですかあ?・・・なるほど、そういうことにしておこうかしら。

lamer様
記録は、母譲りのようです。もっとも、私の方が断然量が多いので、材料はそれなりにそろっているのですが。
by アヨアン・イゴカー (2016-09-11 16:43) 

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