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映像作品『引越し』を全面的に見直す [随想]

 もう三年以上前に、自分の日記に書かれていた一つの出来事を、シナリオに書いた。それは、しかしながら思ったように書き上げられなかった。シナリオの基本として書かれている起承転結や、意外性、面白い展開なども意識したことが原因かもしれない。シナリオの勉強をしている知人にも読んでもらったが、かなり厳しく細部まで不備を指摘された。端的に言えば酷評された。
 彼の指摘に従って、何度も書き直してみた。しかし、少しも納得できない。考えて見ると、私自身はこの日記の内容の詩的な部分に面白みを感じているのだが、原文を知らない彼はその部分は全く分からないから、あくまでも面白いシナリオはどう書くべきかにこだわることになる。ここ数年、時々シナリオに手をいれたりしていたが、満足できなかった。
 今回、原点に戻ることにした。役柄を当てて演ずるシナリオとしてではなく、朗読劇にし、詩的な部分を背景画、紙人形(時にはペープサートも使用?)で表現し、「映像詩」とすることにした。そう思ったら、さっそく、台本をそれ用に書き直すことができた。今日、絵コンテも描き始めた。
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 この絵は、文章には関係のない、思考中の手遊び。
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散歩のことなど [随想]

 最近、体調が少しずつ良くなってきている家内と、時間がある時には近所に散歩に出るのが習慣になっている。これは身体的にも精神的にも好い。尾根の遊歩道から遠くに見える山々。富士山、大山、丹沢山。方角からすると金時山、箱根山などかもしれない山。天気によって光が変化する。雲も、毎日、あるいは目の前で、大きく変化したり流れて行ったりする。多くの雲がでると、周囲の山々はさながら海に浮いた半島のように見え、自分たちが広い海沿いの丘に立って眺めているような錯覚にとらわれる。
 家内は、スマートフォンを持参して来て、必ず写真を何枚も撮る。時には、目まぐるしく変化する雑木林の光を記憶するために動画も撮る。
 三月には鶯の声がよく聞こえたが、その後ガビチョウの声が目立つようになった。最近は、ホトトギスが鳴いている。
 立てた計画は、予定通りには進まない。時々、あちこちに手を広げる。そんな日々。
 添付の絵は無題。
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あてもなく彷徨う [随想]

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 宮澤賢治の作品の映像化。それは自分自身の計画の大切な課題。誰から求められるのでもなく、お金になる当ても、誰からも依頼も期待もされていない、にも拘らず、作らざるを得ない。それが自分の生き方なのだから仕方がない。
 シナリオを書いたのは今年の一月下旬。録音計画はCOVID-19で予定を変更し、当初6人以上だったものを二人で録音。 背景画、人形作り、小道具作り。絵コンテなしで場面ごとの撮影。そして編集。
 仮に編集したものは、評価が二つに分かれた。素朴で、昔のNHKの子供向け番組の様、という感想と、今の子供たちには受けないだろう、テンポが悪い、展開が少なすぎる、など、かなり否定的な感想。
 この意見を参考に、部分的に改訂したものを一昨日栗の里の女房殿に見せると、かなり厳しい意見。要は、完成度が低すぎるというものだった。担当を他者に頼むことができれば、美術担当、録音担当、人形操作担当等々を呼んで、さんざんダメ出しをして、よいものを持って来てもらえばよいのだが、全下請けが「自分」であるため、逃げ場はない。もう観念しろ、と言うことだ。確かに、「まあいいか。」とか「これは一人でやっているから限界かな?」などと言って自分を甘やかしている部分があった。それをすっかり見抜いて正直に言ってくれるのは本当に有難い。
 どのような作品に仕上がるのやら。今の延長線上にあるのか、大きく変わるのか。兎に角、第一作なので、やれるだけやって、次の作品に繋げたい。

※添付の写真は、「おんどりとっつあん、或いはあんたが大将」が空中を飛んでいる貴重な写真^。^
本文とは関係ありません。

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ビデオカメラ等のこと [随想]

2019-03-15金曜日DSCN4326.JPG
 ヨドバシカメラに持ち込んだビデオカメラは、一週間も経たないうちに連絡があり、修理不能であることが分かった。水没により、基盤に大きな損傷があり、修復不能であるとソニーが判断したとのことだった。修理を請け負う以上、正常に機能し、新製品と同じ状態にしなければならないが、水没による故障の場合には、どこまで不具合があるかを確認するのに時間がかかり、実は費用が高いのも、手間が掛かるからなのだ、と優秀な中国人店員が修理に出す時に説明してくれた。「交換する部品なんて、そんなに高くはないんですよ。」とも。なるほど、と納得できた。
 リトアニアのお嬢さんの後半の予定のビデオ撮影は、弟のビデオカメラを借りることになった。パナソニックのカメラで、ソニーHDR CX-680に慣れていたので、最初とまどった。3月19日火曜日には富士山、鳴沢氷穴、旧上九一色村、忍野八海などにゆく。弟が旧上九一色村に行った時にサティアンがどうのこうのという話をするので、日本語を2年間しか勉強していない学生さんに、難しすぎる話題ではないのかと言うと、なんと、この学生さんは教官がテーマとして出したオウム事件を大学で調べ発表した、ということだった。
 富士山(今は四合目まで)にも、忍野八海にも、中国人観光客が大半だった。平日だったから、日本人は基本的には少ないのが当然であるが、それにしてもどちらも結構観光客が多かった。ゴールデンウィークや夏などは、さぞかし混んでいるのだろうと思うを、ぞっとする。自然を見に来て、有名な画家の展覧会の会場のように、行列ができていたら。想像するだけでも疲れてしまう。実際に、数少ないトイレには列ができていた。展望台にも自撮り棒をもった人々が列を成して順番を待っているような状況。
 忍野八海の水は、確かに透明で実に美しい。中国人に人気の場所らしい。
 この様子をビデオで撮り、帰宅してから直ぐにこの映像用に作った2曲を入れて編集。日本民家園と枡形山の前半と、今回の後半を繋げた。35分ほどの長さになった。これを日本滞在の思い出にと、弟経由で渡した。
 その翌日は、姪がイスラエル(エルサレムほか)に行って来た報告会を行うというので、同席し撮影した。姪が編集した映像をYouTubeに暫定的にアップロードしたものを再生するという報告会であった。モニターの画面を見ている人々を私がビデオで撮影する、劇中劇のような入れ子構造になっているのが面白いと思っている。
 私はクリスチャンではないけれど、既にこの映像をいれて2つ、キリスト教関係のビデオを撮っている。中断しているが、ビデオカメラを再度購入し次第再開予定の姉の短編ドキュメンタリー「ずっこけ姉ちゃん、クリスチャンになる」、教会の信者の一人から頼まれている教会の儀式の撮影。そして、牧師が心を込めて祈る姿を何回も見ているが、難しい言葉を使わない、分かりやすい宗教はいいものだと思う。宗教で最も重要なことは、絶対的な信仰だと思うが、クリスチャンになっている姉などはそういうものがあるのではないかと、感じ始めている。
 ところで、姪っ子が映像の編集の際、イスラエルの国歌を使用している。この旋律は、耳に馴染みのあるもので、母が鼻歌で歌ったりする旋律だ。ネットで検索してみると、イスラエル国歌がスメタナのモルダウの旋律に似ていると書いてあった。少し調べてみると、イスラエル国歌も、モルダウもイタリアのラ・マントヴァーナの変形であると言う解説があった。
 自分でも早速、ラ・マントヴァーナ風のギター曲を書いてみた。そのままではつまらないと思い、少しずつ変えているうちに、殆ど原型を留めない別の曲になってしまった。この曲を、「イスラエル訪問 報告会」の頭と最後に入れた。今回、YouTubeにして公開しようとしたが、画像が気に入らなかったので、一旦保留に。

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これからが正念場 [随想]

20180723Mon DSCN3966.JPG これからが正念場、などと書いてみる。もう逃げも隠れも出来ない状況。自分がやったことは全て自分がやったことになり、自分がやらなかったことはやらなかったままになる。
 7月11日(水)に暖かく送り出して頂いたまではよかったのだが、同時にその時に夏風邪を引いていたのだった。それが酷く性質の悪い風邪で、なかなか微熱も咳も取れず、疲労感が残っていた。今日当り、やっとほぼいつもの状態に回復したといえそう
だが、それでも咳が時折でる。声もなんだかおかしい。苛々する。あぁ、結局治っていない。
 これからは、ひたすら描き、書き、まとめ、纏める。そしてピアノについては今まで以上に長い時間を毎日確保して練習を怠らないこと。
 実際に『今日の心象スケッチ』という題名で書きためた詩的な文章があるが、100以上あるうちのやっと三分の一くらいを打ち終えた。それも、今回追加して入力したのは18~20作品。思い浮かぶまま言葉を手帳に記し、後日その時の情景を思い出したり、思い出せずともその言葉の羅列による意味を見出し、肉漬けして作品にしてゆくのは楽しみでもある。終えられないとき、完成できないで諦めて(未完成)などと括弧にいれて、投げ出し次の作品に移る事もたまにある。それも面白い作業だ。
 私は、絵でも詩でも、音楽でも断片から発展させてゆくのが好きだ。
 今日の絵は、1ヶ月も前に手遊びに描いた猫の仮面を付けた男の絵である。一ヶ月も放置しておいたが、今日は青だけで色づけされていた絵に、他の色を塗ってみる。そして、讃のような文章(論語 「顔淵」)を書いてみる。政治には何が大事か「正しさ、偏らない中正、まことで偽りがない真正」。正を以ってすれば、誰が不正を行うことができようか?!そーだね。
しかし、不の付く正をもった人間が政なんぞしようもんなら、それこそ、国の組織のあちこちでほころびでて、道理が引っ込んで不正がまかり通るようになり、道徳観も倫理観も個人的な都合で変えることができてしまうことに。
そうだね。そんなことは断固阻止しなければ。


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吉江新二遺作展を見に行く [随想]

SSCN3685.JPG 昨日2017年10月28日の土曜日は、四谷三丁目にあるTS4312で開催中の『吉江新二遺作展』を見に行った。もっと早く行く予定をしていたが、風邪を引いたり、総選挙があったりで昨日行くことになった。
 地下鉄丸の内線の四谷三丁目駅から徒歩1分、サワノボリビルと言う細長いビルの9階。午後二時頃に到着したのだったが、入口には沢山の靴が脱いであって、右側の部屋には年輩女性が並んでずらりと坐っていた。
 伯母が入口にいて、私の顔を見ると、名前までは無理だったが、伯父の妹の息子であることは一瞬で思い出してくれた。90歳を過ぎているとはとても思われない元気さである。母は脚が悪くて、手押し車がなければ外出できないのと比べると、本当に元気だ。
 私はこの展覧会をブログで紹介したいので、写真を撮ってもよいかどうか伯母に尋ねると「あら、なんだかこういうのよく分からないわ。」と言って店主の男性に「なんだか、ブログに載せたいから写真撮りたいって言ってるけど」と繋いでくれる。「どうぞ。」と言われたので、私はどんどん撮る。しかし、三脚があるわけでもなく、十分な照明もないため、大した写真にはならなかった。兎に角、色を再現することが難しいと思った。最初に掲載している絵は、画集によれば1964年『南仏の農家』と言う作品なのだが、青の色が全く再現できていない。伯父の絵の場合、色は特に大切な要素なので、申し訳なく思うけれども、何もないよりはましと考え載せてみる。
SSCN3684.JPG 抽象絵画を多く描いてきた伯父ではあるが、やはり根本には見ている対象があり、それを線や色で遊びながら作品にしている、そういう制作方法に思われる。実際のことは聞く機会がなく分からない。二番目の絵にしても、色を塗っていたら面白い形、配色になったので、取って置いたという感じを受ける。
 作家のノートとかメモとかは創作過程が分かり興味深いと思う。伯父をもっと知りたいと思って、ファイルにある小さな水彩の下絵なども写真に撮っていたのだったが、あまり何でも撮影するのは宜しくなかったようで中止した。
 それでも、縦笛やチェロを演奏する姿の下絵が何枚かあったので、伯父が1948年に描いた『笛を吹く少年』の完成までにはいくつか案があったことが分かったのは収穫だった。
 今回の遺作展に向けてのリーフレットがあるが、そこに伯母が伯父との「つきあい」のはじまりという短文が載せられている。私は伯父同様、伯母が好きなのであるが、この文章を読んで、ますます伯母への関心が強まった。文章によると、 西荻窪駅そばの夜はバーになる珈琲店の店主が「ウチの客で誰が好き?」と尋ねられ「フルートさん!」と言った途端、熱烈に好きになってしまったと言う。なんと素敵で情熱的な女性だろう。

 伯父が当時からフルートを吹いていたことが、これで分かった。( このフルートは後日、伯父が私に貸してくれて、私がフルートを練習するきっかけになった。)伯母の父親は武士の家系、母は商家、江戸時代で言ったら士農工商の、貧乏士族と裕福な商人の結婚で、母は喜んでいたようですよ、と伯母は楽しそうに言う。伯母には姉が二人?いて、「姉たちは美人だったのよ、あたしが一番不美人なの」とも。「母は彫り深い、インド人のような顔だったの。」この不美人だという伯母でも、私の姉や母は伯母は都会的で、洗練されていて、とっても素敵な女性なのだが。伯母は私をこの場にいた都立新宿高校の卒業生(店主以外は全員女性)たちに私を紹介する時「吉江が一番可愛がっていた妹の息子さんですよ。」と、伯父と母の関係をしっかりと説明してくれた。
20171028sat撮影TS4312にてSSCN3682.JPG 母と私は、私が中学生の頃だったか、私の将来のことを相談するために新宿高校の伯父を尋ねて行ったことがある。あれは美術室だったのかどうか、イーゼルや絵具やらが置いてあったような記憶がある。
 その部屋で、伯父はフルートを取り出し、茶色く変色した楽譜を見ながら、バッハの無伴奏フルートソナタの中のサラバンドを吹いてくれた。男子学生が一人入ってきたが、そのまま吹き続け、学生は黙って演奏が終わるのを待っていた。絵を見てもらいに来たようだったが、さっと見て「デッサンがたりないね。」学生は苦笑いして帰って行った、そんな曖昧な懐かしい思い出である。
 左の水彩は、その都立高校の一室からの景色なのかもしれない。何も書かれていないのでそうぞうだけである。それでも、なぜか伯父を思い出すとき、戦後間もない頃の活気に満ちた、将来に希望をもった人々の姿が思い浮かぶのである。木下恵介監督『お嬢さん、乾杯!』に取り込まれている空気が、感じられる。
 ちなみに、伯父は横光利一『旅愁』が好きだと言っていたらしい。20世紀前半は、日本人が欧米文化に対して大いに劣等感を持っていた時代でもあるので、心理的屈折率は、現代の日本人よりも大きかっただろうと思う。

 『吉江新二遺作展』は本日10月29日(日)19:00まで。

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低気圧は、気が滅入りますなぁ [随想]

DSCN3502.JPG スケッチ帳のボール紙の部分に、ふと絵盛そばと掛けそばの絵を描きたくなったので、描いてみる。私は、そばと饂飩だと、どちらかと言うと蕎麦派かもしれない。どちらも大好きではあるが。
 このお店手打ちそば処戸隠は、職人が二人おりやす。一人は盛専門。もう一人は掛け専門でありやす。特に掛け蕎麦は、その量が多いことで有名であります。盛蕎麦の方を一とすれば、十くらい沢山入っています。尤も、ここにおいでの兎どんは、常連客ですが、大喰らいですから、いくらでも食べられます。ちなみに、量を優先していますから、味のほうは保証は致しません。もち、まじゅくても、「このハゲー!」とか「バカかお前は!」などと暴言を吐いてはいけまちぇんよ。
 
 嗚呼、支離滅裂、無責任。言葉は共通認識をもとに、双方の意思疎通をすることのできる、人類の最大の発明。しかし、共通認識しているはずの言葉の意味、定義を個人の解釈というよりはむしろ都合で、どんどん変えてゆくのは、これは病的自己中心主義であります。求むお手伝いさんの求人募集よろしく、求む「丁寧な説明」、事実説明
 
 あぁ、低気圧は気が滅入りますなぁ。
 

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ただ何となく [随想]

 気持ちだけで、全て空回り。今日の絵も、手遊びに描いていたものに、水彩で色付けをしたり、ボールペンやらで線を引いてい20170121DSCN3190.JPGたら、当初の素朴な少女が少し愁いに満ちた女性になってしまった。それで、どうやって完成させようかと迷い始め、放置。今日再び、線を少し引いてみると、明治時代頃の女性風に感じられた。そこで、『一葉青春日記』より抜粋して書き写してみる。
 絵には華やかさを加える為に、金色を使ってみる。金色は、結構好きで、たまに使いたくなる。絵の具の中にアルミの粉が混ぜ込んであるために、見る角度によって光を反射するのが、なんとも楽しくなる。黄金や真鍮の金色とは異なり、光らない方向から見れば黄土色に近く見えるかもしれない。実は、最初はこの女性の周りを蝶々が飛んでいたのだったが、雰囲気に合わないので塗りつぶしてしまったのだ。桜の花が散る、隅田川の土手の風景でもよかったかもしれない。
 絵に文字を書いてしまうことは、印象が固定されてしまうことが難点であるかもしれない。勿論、印象を固定する為には文字はとても有効だ。便器に『泉』という題名をつけて展示されてしまうと、それで一つの作品だと思わされてしまう、作品だと思わなければならないと考えてしまう。便器に過ぎなかろうが、作品だとして展示された時点で作品になっている。ピカソが自転車のサドルに角をつけて『牛』という題名をつけてオブジェを作ったが、あれは誰が見ても牛の頭である。牛の絵を描いて『牛』とするのも、いかにも芸が無い感じがする。不条理漫画を描く吉田戦車の作品に、水泳プールの壁に「プール」と文字を描き続ける少年の絵があるが、プールにプールという文字を書く無意味さが面白い。
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蒲鉾板作品 その1 [随想]

 今年は、久々に年賀状用に蒲鉾の板を利用して木版画。このブログに書き込みをしてくれているKannaさんが年賀状をゴム版版画で作成する予定だという記事をみていて、やってみたいなと漠然と思っていた。それを後押ししたのが野鳥ブログdoudesyoさんの昨年記事の総括版「重大3 名古屋コーチン」DSCN3189.JPGの写真。その赤茶色の鶏の愉快な写真を拝見していて、蒲鉾板で20年振り位になるけれども、小さな木版画を作ってみようという気持ちになった。あえて黒一色にしているので、少しだけ華やかさを出すためにAyoan Igokahのイニシャルの判子を押した。(この判子はシャンペンのコルク栓を使って、昨年夏に作成)送った相手は数人限定。画像にある文章は、『古今和歌集』の冒頭。筆ペンで小さな文字を書くのは難しいと感じる。もっと大きな字であれば、もう少し勢いを筆にのせることができただろうと思う。
 今年の冬休みは水曜日まで、10日以上連続の休みだった。あれこれやりたいと考えていて、少しだけ計画もしていたが、ほぼ未達成。殆ど読み終わっている本4冊を読み終えようと思っていたが、結局は休みが終わってから読み終えることに。模型飛行機(ライトプレーン)を作ってしまおうと思ったが、机の上に一回置いて設計図と部品を確認するだけで終わった。動画や人形劇に使える小さな劇場(ボール紙)を作ることにしていたが、こちらも箱だけ確保して中断。
 一方、B5判と小さいながらも絵は毎日1枚以上は描いていた。これは当初全く予定していなかった。中断していた河童の看板にも取り掛かったが、再び保留に。『風神雷神図』は鉛筆の下絵を終え、それぞれの神に一回目の彩色をする。何度も塗って、深みを出したい、だからこちらも保留になっている。玄関扉を交換したので、それに合わせて、郵便受けに油性ニスを塗ったり、バッタの看板を壁に打ちつけたりした。私という馬は、なかなか川辺に行っても水を飲まないで、道草を食べてばかりいるのである。


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根拠のない自信について [随想]

 ファミレスで会話をしている若者の話として語られていたと思うが、「根拠のない自信」は日常、日々目撃していることに気付く。「俺はやるぜ。誰がなんと言おうが。だって、俺には自信があるからな。未来の俺が、くすぶっている今の俺にエールを送ってくれているんだぜ。」こういう若者ではなくとも「うちの商品は絶対にいいんです。」他社の商品と較べたことも、他社の商品の知識もない人間が、そういうトーク練習を研修で受けているために、自信をもって薦めるのもこれに近似している。
20160923DSCN3114.JPG この行動を表現するのに、ダニング=クルーガー効果※という言葉があり、2000年にこの研究でイグノーベル賞を授与されていることを、ウェブ検索していて知った。「能力のない人ほど自分に欠如しているスキルにきづかず、一流のスキルを正しく認識することができない。」
 更にこういう分析をしているウェブページもあったので、そこから納得の出来る部分を引用しておく。url:http://yagi-coach.com/mindset/zisinganai/
 自己肯定感を高める方法として紹介されているのが
1.自分を責める癖に気付く
2.言い訳や責任転嫁を他者にすることを自分に許す
3.自分を褒める
4.他人の評価を気にしない
5.現状の自分でなく「未来の自分」の立場で思考する
6.自分の強みを知る
7.自分が認められるコミュニティを持っておく

 自分の主張する考えが批判されようが、馬耳東風。逆切れしたり、相手を小ばかにしたりする風をみせる。批判されると感情的になり、明後日の答えをしていながら、自分は真摯に答えていると言い張る。自分の提示した考えが事実上破綻していようが矛盾していようが、自分には一貫性があり正しい、それを認識できないのは批判者の方であると自説を強弁し、譲らない。それを自分の信念の強さであり、実力であると盲信する。一般的にこういう裸の王様は自分を応援する応援団を用意している。本当の自信があれば孤軍奮闘できるのだが、裸の王様は本当はやはり自信がないので一匹狼にはなれないからである。
 そして問題なのは、外見だけでは根拠のない自信家なのか、本物の根拠がある人なのかが分からないことである。少し会話をすることで鍍金は直ぐに剥がれるので分かるのであるが、会話をする機会が不十分であったりすると、鍍金がそのまま本物として通用してしまうのである。鍍金がついたままマスメディアで拡散されてしまうと、それは根拠はないにもかかわらず一つの「常識・共通の理解」としてまかり通ってしまうのである。若者が根拠のない自信を持って頑張るのは、本物になる可能性もあるので応援するが、いい大人が根拠のない自信を持っているのは許しがたい。科学的態度を重んじ、客観性を重要視する身としては、このような根拠のない自信は防がなければならないと考えている。

※ウィキペディア:ダニング=クルーガー効果: Dunning–Kruger effect)とは、未熟あるいは能力の低い個人が、自らの容姿や発言・行動などを実際よりも高く評価してしまう認知バイアス。自己の「愚かしさ」を認識することのメタ認知(公正かつ冷静な振り返り)ができないことによって生じる[1]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%EF%BC%9D%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C


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