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劇団木馬座の思い出 - 補遺その1 [劇団木馬座の思い出]

劇団木馬座の思い出-補遺その一 二〇一〇年七月十一日 日曜日

 

 手元の手帳(東海銀行の手帳)から、出来るだけ記憶を辿りながら書いてみる。メモを見て分かるのだが、制作助手の仕事は、細かい連絡事項、注意点、配慮が多い。

一九七六年十一月二十七日、東音スタジオ(新大久保下車、池袋の方向に五十メートル)。*ハセサンジさんが『ねむり姫』の案内役である老人の声を録音し直することになったが、その録音に立ち会うの時のメモである。HDさんに連れて行ってもらった。

 十一月二十九日、川崎市生田にあった倉庫にて、『ピノッキオ』の小道具の色塗りをし『ねむり姫』の小道具と面を持ち帰り、その後双葉学園にて『ねむり姫』出演者達に紹介される(午前十時)。*欄外のMEMOには《ピノッキオのしかけ》孔雀の羽を工夫すること、と書き込み。

 十一月三十日火曜日、四ツ谷のスポーツ用品店(四ツ谷三丁目のミカド運道具店)へ、ヘルメットの予約したものを取りに行く。(午前十一時以後)序でにフラフープを買う。

 十二月一日。オーディション(一時から四時)HD氏、IY氏、信濃町の東医健保会館にて。

 十二月二日。エミさん、ハセサンジさんにHD氏連絡しているかどうか確認。*これは『ねむり姫』の振付を担当しているエミ先生と、録音をしなおしたハセサンジさんを稽古場の予定について知らせているか、と言う確認をするように誰かに指示されたものだと思う。

 十二月四日。生田倉庫にて、トラックに直しの大道具を積み込む。

 十二月六日。SBS(東銀座にあった音響担当の会社)に五時までに行く。新運転(運転手協会)のTKさんにも、『ピーターパン』を持ってゆく日時。(を知らせるという意味)二十日以降は未定。*これらの指示はHDさんからされた記憶がある。

 十二月十四日。小割り、垂木、半分のものを四本ずつ。

 十二月十七日。『ねむり姫』の衣裳、面、小道具を倉庫へ持ってゆくこと。(会社にあるもの)

 十二月二十一日。制作費一万円預かり。東横の通行証を人数分。

 十二月二十二日。『ねむり姫』『ピノッキオ』招待券を三枚ずつMDさんに。ビニール袋買い。*ここのMDさんは『ねむり姫』の魔女役をしていたMDさんである。

 十二月日付不明。SBSのSBさんの(東横ホールでの)仕込みは二十三日午前九時からエレベーターを使用することもありうる。映写機使用後の電源のスイッチを切ること。

 翌一九七七年一月七日は東医健保会館で下稽古(シンデレラ)

 一月八日。浦和埼玉会館で『シンデレラ』九時からゲネプロ。一時半開演。*と言うことは前日七日に搬入仕込みが行われていることになる。

 一月十日と十一日は横須賀市文化会館にて『ねむり姫』。その後十二、十三日には相模原市民会館、十六日には立川市民会館。二十二、二十三日は草加市文化会館。*この時私は相模原、立川、草加には行っておらず、別の公演で行くことになる。

芝居の稽古などの日程を記しておくことにする。sleeping beauty 2010-7-11.JPG

一九七六年十二月五日から十日まで、四ツ谷駅近くの双葉学園同窓会会館にて、十時から午後九時まで『シンデレラ』の稽古。六日の土曜日のみ午後五時まで。同時進行で『ねむり姫』の稽古も。同会館にて、十二日から二十日まで一部新作の『ピノッキオ』の稽古。十二日は土木健康会館にて実施。十六と十八日は新宿体育館を予約するが、確保できず中止か(手帳の別の頁には新宿体育館で一時から九時下稽古と書いてある)。

 十二月二十土曜日、千葉市民会館にて午前十時から『ねむり姫』の搬入と仕込み。その後、十三時より二十一時までゲネプロ。翌日二十一日日曜日から二十二日月曜日の二日間公演。日曜日は十時半と一時半開演で二回、月曜日は十時半開演一回のみ。二十三日より渋谷の東急東横ホールにて二十七日までクリスマス公演。二十三日のみ十時半開演、他は午前の部のあと午後一時半開演の二回公演。翌年一九七七年一月十日には横須賀市文化会館にて二時半開演。翌十一日には、十時半と二時半の二回。その後は二月十一日に江東公会堂で、九時五十五分と一時十分の二回開演である。開演時刻が変則的なのは、恐らく搬出を完了する時刻が厳しく制限されているためであろう。

同時進行で、十二月二十一日に有楽町の読売ホールにて『ピノッキオ』の仕込みおよびゲネプロ。二十二日より二十四日まで公演。二十五日より二十六日は藤沢市民会館にて公演。

手帳にはこんなメモがある。十二月十九日から二十二日まで毎日、新百合ヶ丘から柿生駅に出て、そこからタクシーを使って帰宅。ゲネプロや芝居の駄目出しを夜遅くまでやるので、小田急多摩線の最終電車がなくなってしまったのだろう。

その他この手帳に書かれているのは、『錯覚の本』千二百円、『チェーホフ全集』第一巻と十六巻、それぞれ千五百円、バイロンの『Don Juan』千二百円『Manfred』千円。技術の参考書五百円、ファッション雑誌千円。*この中で買っていないのは技術の参考書である。錯覚の本は、舞台の小道具を作成する際のヒントがあればと考えたのだと思う。ファッションの雑誌は、舞台衣装はファッションの先端を行く部分があってもよいのではないかと考えて、購入した。尤も、あまり参考にはならなかったが。

この手帳には散文『南武線のジェニファー・ジョーンズ』と詩『太陽を呪う男』が書かれている。


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mokamoka

訪問頂きありがとうございます^^
by mokamoka (2010-07-11 21:21) 

samohan

はせさん治さん、懐かしいです。
亡くなられて8年位になりますでしょうか。

我々の世代以降では、筋肉マンの「アデランスの中野さん」が
一番印象に残っているかもしれませんね。

76年だと「ポンキッキ」のお兄さんをやられているころでしょうか。
私も5歳くらいですが、うっすらと記憶があります。

木馬座に関わった声優の方では、堀絢子さんはまだ現役のようですね。

アヨアン様の緻密な制作風景が目に浮かんでくるようです。
親父(演出家K)も、タクシー帰りが多かったですが、制作や他のスタッフ
の方々は、演出家等を帰してからがむしろお仕事でしょうから…。
激務の程を拝察致します。

あのような独善的で傍若無人を絵に描いたような人間と、仕事とは言え、
よくお付き合い下さったなと正直思います。

また伺わせていただければ幸いです。
それではまた改めまして。
by samohan (2010-07-12 01:19) 

大善士

アヨアン・イゴカー さん nice! & コメントを ありがとうございます^^
我很喜欢日本文化。 私はとても日本の文化が好きです。
我经常在网上看日本的电视剧。
私はいつもネット上で日本のドラマを見ています。
以前我也学过一点日语。不过好久没学,很多都忘光了。
以前は私も日本語を学んだことがあります。でも長い間学んでいないで、たくさんすべてすっかり忘れた。
我现在写出来的日语是用“翻译器”来翻译出来的。
私の今書いた日本語は翻訳器で翻訳しにきたのです。
现在我很想重新学习日语,所以今后请多多关照^^
今私はとても再び日本語を学びたくて、だから今後どうぞよろしくお願いします^^もらいます
by 大善士 (2010-07-12 10:11) 

青い鳥

いつもながら、アヨアン・イゴカー様の記憶力の確かさに驚かされます。
by 青い鳥 (2010-07-12 22:49) 

mimimomo

おはようございます^^
お若いころは何方でもそうでしょうが、あちこちとお忙しく飛び回っていらっしゃったのですね~ 
記事を読ませていただきながら、自分も若いころは疲れも知らずよく動いていたな~っと思いだしました。
by mimimomo (2010-07-13 08:16) 

sig

こんにちは。
1976年12月は3本もの出し物が連なっていたんですね。
確かに、みんな暇なしに動いていた時代だったかもしれませんね。
土日休業、GWは9連休、正月と夏休みは1週間・・・などということはまず考えられない時代でしたね。
by sig (2010-07-13 14:44) 

にすけん

 『錯覚の本』に興味ありますね…(笑)1,200円って、結構いいお値段ですし。
by にすけん (2010-07-15 07:22) 

ミモザ

こんばんは!あちこち忙しく飛び回っていらっしゃった頃を
見てみたい気がしました。
こんなによく覚えていらっしゃって驚異の記憶力ですね(^^♪
by ミモザ (2010-07-15 19:49) 

youzi

木馬座って言うと、「ケロヨン」をやっていましたよね。
小さい時に見に行った事があります。
by youzi (2010-07-16 23:28) 

アヨアン・イゴカー

kaoru様、よっちゃん様、旅爺さん様、水郷楽人様、さとふみ様、兎座様、雉虎堂様、もめてる様、chiho様、今造ROWINGTEAM様、mokamoka様、ミモザ様、Mineoraurus様、kakasisannpo様、dorobouhige様、ひろきん様、glennmie様、sak様、くらま様、赤と青様、ChinchikoPapa様、いっぷく様、sera様、大善士様、+k様、ゆきねこ様、lamer様、kurakichi様、ryo1216様、miffy様、matcha様、HAL様、nyankome様、toraneko-tora様、schnitzer様、moz様、アリスとテレス様、mitu様、リュカ様、takechan様、青い鳥様、チョコシナモン様、扶侶夢舎様、さる1号、orange-beco様、Enrique様、doudesyo様、yakko様、mimimomo様、夢空様、tsuka様、sig様、momoe様、sora様、悠実様、tacit_tacet様、siroyagi2様、にすけん様、アマデウス様、駅員3様、ぼんぼちぼちぼち様、optimist様、youzi様、野うさぎ様、chee様、yann様 皆様 nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2010-07-17 22:49) 

アヨアン・イゴカー

mokamoka様
手作り石鹸、いいですね!香や形や色も楽しめそうですね。

samohan様
お越しいただき有難うございます。
堀絢子さんと言えば、やはり『ピーターパン』の声、『アルプスの少女ハイジ』のペーターの声ですが、独特の声つくりをされる、素晴らしい声優さんだと思います。

補遺はまだ続ける予定です。

大善士様
ようこそお越し下さいました。
中国語と日本語の対訳をみて、日本語が随分間違っているので気になっていましたが、自動翻訳だったのですね。
高校生の時に漢文が好きでした。大学に入ってから少しだけ資料として、白文を読みました。
数年前に、少しだけ中国語の勉強を始めました。宜しくお願いします。
請多関照!

青い鳥様
記憶力はよくありません。メモを捨てられない人間なのです。それを見ながら書いているだけです。

mimimomo様
若い時は、今と比べると遥かに無理をしても平気でいられたものだと思います。しかし、現在は、もっと効率的になっていると確信しています、いつもpositive思考なのであります。

sig様
木馬座の長嶋武彦社長の言葉が、いつも蘇るのですが、20代にやっていたことは一生涯ついて回るぞ、あの頃の記憶、経験が私を常時支配しています。

にすけん様
残念ながら『錯覚の本』どの本のことか思い出せませんので、記憶違いかもしれません。あの頃はどうやって子供達の目を欺いてやろうか、驚かせてやろうかと考えていました。

ミモザ様
あの頃は始発に乗って出かけなければならないことも時々ありましたが、今では体がもちません。若いということは、それなりに体の自由が利くということなのですね。

youzi様
ケロヨン、やっていましたね。私が入社した時には、そのケロヨンの興行で拵えた赤字で経営難に陥った木馬座を、長嶋武彦社長が買い取ってからでした。藤城清治さんはジュヌ・パントルという名で別の劇団を作っていました。ですから、ケロヨンやモグちゃんなどの縫いぐるみは、本物を観たことはありません。
by アヨアン・イゴカー (2010-07-17 23:20) 

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