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暑い夏の詩 二篇 [詩・散文詩]

2010-7-28

taiyo-kun enters 2010-8-7 sat.JPG夏の詩その一

(観音の立像が本を読む

マグダラのマリアthe Magdalene

携帯電話の画面を見つめて吐息をつく

黒蜥蜴の女は

通過する特急電車に背を向けている)

 

アスファルト道路は

ソフトクリームのように流れている

灰色と青色と白色の縞々が

ナイアガラ瀑布に向かって

蝸牛の速度で流れてゆく

アスファルトは糖質が零だからと言って太らないわけではない

油断めさるなよ、諸君!

そこへ、ファンファーレもなしに

ランニングシャツを着た太陽君が登場

(こんなところをマラソンしてはいけないってば

余り速く走って大地を焦がしていると

弓名人羿に射落とされるよ)

彼の得意な種目は跳馬と吊り輪である

あぁ、床運動も鞍馬も

 

朝焼け空にソロバイオリンの奏でる愛の賛歌が美しい

若者には夏は恋の季節

老いた者には夏は受難の季節

夕焼け空にはツィゴイネルワイゼン

あぁ、ロマよ、ボヘミアンよ、ノマドたちよ

万年大学生たちよ

lonely taiyo-kun 2010-8-7 sat.JPG夏の詩 その二

この音、即ちこの声は

昔、小学校の理科室で聞いた

樹の幹を伝って根元に雨水をまとめる

あの声

その技は宇宙の誕生からの経験に裏打ちされた計算

 

子供の頃は憧れが私達をして

愉快な行動をせしめたものだ

屋上から飛び降りたり

自分や麒麟の脚の長さを測ったり

川獺の真似をして、息を永遠に止めてみようとしてみたり

自分の影を振り切って走ろうとしたり

五十ヶ国語を喋って見せてみたり

魔法使いになるための修行をしてみたり

十歳にして老後の薔薇色の生活を夢想したり

天の川で溺れてみたり

誰も命令していないのに、運動場を一万周走ってみたり

 

あぁ、しかし、誰もそんな行動を褒めてはくれなかった

存在に気づいてくれた人も少なかった

孤独者の思い出

窓外では子供達がはしゃぎまわっていた

校庭で鬼ごっこをしていた

炎天下で汗まみれになりながら必死になって遊んでいた

なんでも飽きるほど、死に物狂いでやることが

若者たちの特権

 

愚かしさ

そして懐かしさ

 

太陽君は夏の象徴であります。

太陽君!


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コメント 13

ぼくくま

最近、お出かけが多いので少し太陽くんにおてやわらかにして欲しいです(笑)
by ぼくくま (2010-08-08 12:35) 

yakko

こんにちは。
夏〜〜〜 今では受難の季節となりました・・・
by yakko (2010-08-08 15:12) 

青い鳥

今日も暑い1日でした。
お墓のお掃除に行って来ましたが、汗が滴り落ちました。
最初の太陽の絵のような感じでしたね。
by 青い鳥 (2010-08-08 19:16) 

youzi

最近、物凄く暑いのは
何か企んでいそうな太陽の表情に理由があるのかしら。
この表情、大好きです。
by youzi (2010-08-08 19:57) 

YUYA

太陽は、いろんな画家が繰り返し描いたモチーフだとか。
いろんな太陽の表現が載っている本などもあります。
アヨアンイゴカーさんらしい表現の太陽ですね。
by YUYA (2010-08-08 20:15) 

sig

こんばんは。
連日35度近い酷暑の中で、太陽を賛歌できるアヨアン・イゴカーさんがうらやましいです。
by sig (2010-08-08 21:21) 

スマイル

こんばんは
起こしいただきありがとうございました☆
前記事も読ませていただきましたが
大変に楽しく、はっとさせられる内容ですね☆
お描きになられている絵も素敵です~
楽しむと同時に気づきもいただきありがとうございます♪
by スマイル (2010-08-09 00:00) 

アマデウス

最初の太陽は「もっと暑くしたら地球はどうなるかな?」と言っている
イタズラ太陽君の様ですね★二つ目の太陽は優しく輝く太陽君の感じがします★
by アマデウス (2010-08-09 06:44) 

にすけん

 長らく薄曇りのように白っぽい夏空ばかりでしたが、久し振りに真っ青な空をぎらつく太陽、光り輝く雲が支配する夏だと思います。太陽くんは牙をむき出さんばかりの凶悪な顔つきですが、意外と嫌いじゃなかったりします♪
by にすけん (2010-08-09 12:00) 

sak

太陽君、いい顔してますね(^^
by sak (2010-08-09 13:02) 

matcha

最初の太陽の絵、2通りのお顔に見えるのは、私だけでしょうか。
一番上にちょこっとあるのが眉ならば、次の細長く垂れているのは
眼ということになり、下の太陽と似ていますが・・・。
この細く垂れているのが眉だと、次のまんまる二つが眼になり
眠気をこらえる私のようなお顔に見えます。
どちらにしても、明日からの私の太陽を見る眼が、少し違ってきそうな
詩を有難うございます。
by matcha (2010-08-09 18:50) 

アヨアン・イゴカー

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皆様 nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2010-08-11 14:46) 

アヨアン・イゴカー

ぼくくま様
本当に、外を歩いている時は、お手柔らかにして欲しいものです。熱中症、注意してください。

yakko様
なんだか、20代にはとても情熱的に感じられたものが、そうでなくなってしまいました。最近は、日光も大雨や大雪と一緒で、準備をしていないと酷い目にあいます。

青い鳥様
電車の窓から陽光が差し込んでくると、なんだか危険なものに晒されているような感覚になる時があります。

youzi様
恐らく、緑の多い場所であれば、太陽君もそんなに脅威ではないのではないでしょうか。都会に緑が少なすぎると感じます。小鳥達は、どこに隠れればよいのでしょうね。

YUYA様
有難うございます。実は、今回は自分らしい太陽はどのような顔になるのだろう、と考えて描きました。もう一つ、猫の顔の太陽も描いたのですが、妻が一言「猫が燃えているのはねぇ・・・」と言ったので、ここに出すのはやめました。
太陽といえば、西洋の地図、海図などにも載っていて、大好きでした。中学生の頃、それらを模倣することから太陽を書き始めました。

sig様
太陽君にはすっかりやられていて、体力を消耗している日々が続きます。

スマイル様
私が詩を書く時、言葉の響き、掛詞、意味を楽しむようにしています。すべて感情に任せ、頭で決して考えないことが大切だと思っています。

アマデウス様
一つ目の詩は、旱魃やひでりのことも思い出しながら書きました。二つ目の詩は小学校の教室を思い出しながら。

にすけん様
仰る通りですね。太陽君は、時々は結構元気でいてくれなければ季節感がなくなってしまいます。元気すぎて、迷惑な時もありますが。

sak様
有難うございます。
少しだけ迷いながら描きました。

matcha様
一枚目の太陽、確かに騙し絵のように、顔が二つ見えます。それは意図していなかったので、ほっぺたの赤丸を倍の大きさにしたのです。


by アヨアン・イゴカー (2010-08-11 15:12) 

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