無題

　2017年5月22日に描いた絵。左に犬を連れて帽子を被っているのは私。気付かぬうちに、黒い影絵のような人物を時々描くようになっていた。これは、もう完全に私自身であることが分かった、後から。描こうと思って付け加えたのではなく、必然的にそこに描かれることになっただけである。
　この絵の裸の男は、悪夢のような現実世界でひばしば見る男である。彼の顔は正視できないほど嫌いであるが、正視しないと危険なので敢えて見ているのかもしれない。危険なものから目を背けてはいけませんよ、何をするか分からないからしっかりと監視していなければなりませんよ。不断の努力によって、勝ち取った物は守らなければならないのだから。勝ち取っていなくとも、自分たちが与えられた自由は、不断の努力によって守らねばならない。
　この絵の題名をつけるとしたら『月夜の散歩と性的倒錯者の告白あるいは月夜の巡礼』になるかもしれない。
この絵以外にも、Ｂ5判の画帳には、もっと分かりやすい、明々白々な主張の入った絵もあるが、描きこむ気が起きなかったので、色を塗って一度仕上げたままになっている。気が向いた時公開するかもしれない。
　帽子を被った影絵の私の隣にいるのは、愛犬ホグホグである。彼は私にいつも付いてきてくれる忠実な犬である。我が家では犬を飼ったことがないが、と言うのはいつの間にか、猫がいつくようになってしまうからだが、実は私は犬の方が好きなのである。犬派と猫派、どちらかと言われたら、私はむかしから迷わず犬派だと答えていた。にも拘らず、犬を飼ったことがない。猫がいるので、犬を飼うことができないような気がするのだ。この程度の犬派なのである。それでも、犬を連れて散歩している人がいると、ついその犬を見てしまう。ちなみに、私は、犬も猫も雑種が好きである。血統書つきのペットは、基本的には好きになれない。人工的な印象がつよいからだ。より自然なものが好きなのだ。
　植物も、観賞用の売られている植物よりも、路傍の野草、野原に生えている野草の方がやはり好きである。単一の植物が植えられている花壇よりも、自生した野草が咲き競っている姿の方が好きだ。子供の頃は、花壇に咲く花が美しいと教わり、実際に美しいとも思ったものだ。食べ物でもそうだった。濃い味、甘い味が好きだった。食材本来の味を楽しむよりは、美味しいとされている濃い味付けのされている物の方が美味しくて食べやすかった。しかし、最近は、食材そのものが持っている味を確認しながら食べる方が楽しく感じる。勿論、濃い味、人工的な味は美味と感じてしまうのではあるが、これは他の人と同様に美味しいと感じる味覚が同じようにできているのだから避けることはできない。
　ギターの練習は、少し時間が減っている。昨日は弾く時間がなかった。技術が落ちているかと思ったが、今日弾いてみたらそんなことはなく、むしろ練習していた部分が僅かではあるが定着していることが分かった。何より、気圧が低くなると、指がもつれ、頭が回転しなくなる。気圧の影響の方が遥かにその日その日の出来に大きく影響する。梅雨の時季は特に好調不調の差が大きく、辛い日が多くなる。
　
　ところで、左の絵の中の男と犬、影絵の男と愛犬ホグホグは、これから描く絵のいくつかに登場することになるだろう。空間の共有者として、目撃者として、証言者として.

或いは私と言う人間ではなく、頭の中で妄想された預言者として。
　今日は、稲城市城山文化センターに行って来た。sigさんが制作された『三沢いきものがたり』（85分）と言う記録映画を見るためである。会場は100人ほどの定員であるが、予約で早々と満席になっていた。私は、当日並ぶことになったが、運よく席を確保することができた。
　三沢川で撮影された風景、植物、動物、昆虫たちがsigさんの愛情を込めて編集されていると感じた。青大将とカラスの決闘なども緊張感のある映像になっていた。また、青大将が道路脇を進んでゆくところを、雀の子供が面白がって飛び跳ねながら付いてゆくところなどは、本当にはらはらしながら見てしまった。自転車が途中でこのニ匹の間を通過したので、雀の子供は事なきを得てほっとしたのだが。コサギたちが20羽位だろうか、塒として使う木があったり。6年間撮り貯めた映像が、ふんだんに使われ編集されて、ゆっくり観察すると町の中にも多くの自然があることが分かる貴重な映像作品だ。

コメント 7

飼ってはいない愛犬ホグホグと見ているのは、見たくはないけれど
見続けていなくてはならない裸の王様ですね。
嫌な顔しています。この顔が良い顔にいつかなるとは到底思えないです。
私も雑種が好きです。自然の摂理で生れた雑種。
野菜ですが素材の持つ本来の味覚を生かすためには、そう凝った料理はしなくなりました。
味付け要らないのです。


by majyo (2017-06-18 08:49) 

性的倒錯者とは的確な表現です。そうでない人が耐えられないのは当然ですが，苦痛でもしっかり正視しなくてはなりません。現状打開のきっかけはこのような，理性知性感性に基づいた表現なのかなと思います。
ギター演奏に関する動画を上げておきました。
by Enrique (2017-06-19 06:38) 

sigさんの作品を見に行かれたのですね。
私はロケと重なってしまい伺うことができませんでしたが、力作だったようですね。
また見る機会があることを願っています。
by 森田惠子 (2017-06-20 19:01) 

愛犬ホグホグちゃん、素敵なお名前で気に入りました（*＾＾*）
ところで、「正視しないと危険なので敢えて見ているのかもしれない」という言葉から、ふと猫ちゃんの行動を思い出しました＾＾
というのも先日、yuya氏宅の猫ちゃんと初対面をしたのですが、初めて見る私に警戒しながらも、じーっと私を見つめながら観察しているのですよね＾＾
危険なものを直視してしまうというのは、動物の本能なのでしょうか＾＾
ちなみに私はウサギや魚など、一見感情が分かり辛い動物が好きです＾＾
分かり辛い動物の感情を思考錯誤しながら理解してゆく事が楽しみでもあり、幸せな事だなとも感じています（*＾＾*）
by Kanna (2017-06-23 12:42) 

ネオ・アッキー様、鉄腕原子様、扶侶夢様、＠ミック様、ビタースイート様、mimimomo様、majyo様、めもてる様、かずのこ様、carotte様、山子路爺様、トックリヤシ様、常武鉄道様、シラネアオイ様、Mitch様、ChinchikoPapa様、くらま様、Enrique様、kohtyan様、pito-kapi様、りんこう様、八犬伝様、せとっこ様、マルコメ様、kazg様、水郷楽人様、caveruna様、dumbo様、森田恵子様、芝浦鉄親父様、ファルコ84様、siroyagi2様、chiho様、lamer様、yam様、えれあ様、SILENT様
皆様nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2017-06-25 13:27) 

majyo様
見たくないものを見ているのは、実に時間の無駄だと感じます。
もっと大切な人類共通の問題（環境問題、平和、格差解消、エネルギー問題その他沢山）があるのに、こういうつまらない人物達に煩わされるのは嫌になります。
人間についても、雑種の方がよいのかもしれないと思います。勿論、固有の文化を守ることは、表面的ではない文化を考えるために、不可欠であり大切なことだと思いますが。

Enrique様
彼らにとって見れば、論理性や理論の整合性などはどうでもよいように見えます。自分たちの利益を守るために、必死に批判と怒りに五感を麻痺させ、批判や怒りが時間とともに減衰してゆくのをじっと待っているようにすら見えます。彼等は頭で考えているのではなく、感情、好悪で判断しているだけだとしか考えられません。権力を持つ者はnoblesse obligeが不可欠ですが、彼等はそれもなければ、説明責任を果たす義務感も欠如しています。
国民の一人ひとりが、考えて行動するようにならなければならないと痛感します。が、絶望はしていません。

森田　恵子様
撮り貯めた物を、意図を持って何かの作品にするという方法は、興味深いです。自分ではやってみたいという気持ちがあるだけで、その気持ちが不十分で、撮りためたり、現状では作品にしたりすることが出来ていません。
新聞の取材も受けられたようで、東京新聞多摩版の朝刊にも載っていました。新聞や雑誌の取材を受けるということは、これかの活動に関しても、非常に効果が大きいと思います。

Kanna様
一見感情が分かり辛い動物が好き？とは、ちょっとひねくれていますね
（笑）＾＾でも、実はひねくれているようでいて、そちらの方がより正確に相手の感情を理解しているのではないかと言う気がします。
第一印象が好い人は、往々にして、後で一癖も二癖もあるということが判明することがあるからです。アピール上手（素晴らしい人なのかと思わしめる言動等）、ゴマすり（本当のことを言わない等）、yes　people（自己を否定しても、相手に気に入られることを是とする人々）は最初の印象は悪くないと思います。しかし、・・・
むしろ、話してみると、或いは一緒に仕事してみると実は好い人だった、ということの方が多いかもしれません。警戒すべきは第一印象ですね、やっぱり。ということで、私も少し捻くれているかもしれません。＾＾

ホグホグの名前、気に入っていただいて嬉しいです。いつか、この犬ので登場する詩画集、どこかで発表しようと思っています。
by アヨアン・イゴカー (2017-06-25 14:25) 

実に面白く拝見しちゃったのですが、感想が簡単に書けなくて、遅くなりました。で、今日も書けません。でも、なんかおかしくて・・・
by momotaro (2017-06-29 21:59)