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おもしろ床屋 [随想]

 今日は稲城市にある行き付けの床屋へ行く。Hey, you!.JPGたまたま洗髪用の流しのメーカー名が目に入ったので「タカラ美容製なんですね。」と言うと、「よくご存知ですね。」と言う。何故知っているかを説明する。その後で、床屋さんでどれだけ鋏を使っているのか疑問に思い質問する。「鋏は何種類位、使われるんですか。3種類位ですか?」「最低でも6種類は使いますよ。柔らかい髪か硬い髪かで、使い分けるんですよ。」なるほどと納得する。「ところで、髪の硬さは人種によって異なるんですよね?」と尋ねる。「そうですね。」と言ってから、コーカサス系の人種の髪について、アフリカ系人種の髪の硬さについて説明してくれる。コーカソイドは柔らかい。また、アフリカ系も、硬いのかと思いきや実は柔らかいそうである。アフリカ系の人の髪は巻いているので、指間(しかん)刈り※が出来ず、櫛で巻いている髪を伸ばしながら鋏をいれるので、散髪は難しいとのこと。この髪の切り方はお父様より直接教えて貰ったそうだ。
 「鋏はゾーリンゲンや新潟などが有名ですね。」「そうですね。これヘンケルですよ。」と鋏を見せてくれる。ツヴィリングの双子の商標が挟みに刻印されている。日本製を使っていると思っていたので、ゾーリンゲンのヘンケルスを使っているので感動する。(昔、祖父が、刃物で有名なゾーリンゲンの鋏をドイツからの土産で買ってきたからである。)「面白い鋏がありますよ。普通は研いではいけないところを研いで削ってしまった鋏があるんですよ。これは挟み込んで押し切るのではなく、言ってみれば、二本の刃物を一つにしたような鋏なんです。よく切れますよ。コツコツ音がします。今度、使ってみましょうか。」嬉しい話である。次回は、この鋏で切るようお願いしてみようかと思う。
 鋏の研ぎについて教えてもらう。床屋のご主人は、動物用の鋏の研ぎをやったことがあるそうだ。犬や猫の毛は、和毛なので、人間用の鋏と同じ角度で研ぐと鋏に毛が巻き込まれてちっとも切れない。人間用の場合研ぎの角度は45度くらいであるが、犬猫用の場合にはもっと角度を付けなければいけないそうである。これで私は研いでも切れない鋏がある原因が今頃になって分かった。ただ研げばよいのではなく、切る対象の厚さを考慮して鋏の刃の角度を変えなければならないということが分かった。
 他にも、床屋さんには符牒があることも教えて頂く。客の前では金額について分かってしまうような会話はできないので、床屋さん独特の符牒があり、傍目に何をしているのか分からない。実際に、手でその符牒を見せてもらうが何のことが分からない。ちなみみ、こういう符牒はやや古い床屋さんでないと通じないらしい。最近の美容室では使わない。符牒については、また、次の機会に教えて頂こうと思う。

※指間刈り(しかんがり)とは、二本(人差し指と中指)の指で髪の毛を挟み、指の間から出た部分を鋏で刈る方法。

今日の絵は「おい!こら!烏」


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Enrique

なかなか最近見られない情景が浮かんで来て楽しいです。
プロ用の髪切り鋏はかなりなものですね。たぶん砥石にもこだわりがあると思います(カミソリ用でもありましょうし)。
枝切り鋏の研ぎは良くやっていますが,繊細で難しいでしょうね。髪切り鋏も髪質によって刃先角が違うというのは納得できます。鉋の刃では仕込み角が異なり,柔らかい木用は寝かせてありますが,堅木用や台直しなどはほぼ直角です。
by Enrique (2014-01-26 08:20) 

maco

はじめまして^^
優しくて温かみのある絵ですね。
とても楽しく拝見させて頂きました^^
また遊びにきます。
by maco (2014-01-26 14:00) 

sig

稲城にそれほど経験豊かな理容師さんがおられるとは、なにやら誇らしくなりました。栗の木の里と稲城はお隣さんですし、若葉台へはよく買い物に行きますから、三和かユニディで見かけたらお声をかけてください。
by sig (2014-01-26 17:11) 

mimimomo

おはようございます^^
男の方の会話は女性のそれとは当たり前ですが全然違いますね^^
以前理容室に行っていたことありますが、終始無言なわたくし。
今は美容室に行っていますが、大体旅の話や山の話。
鋏の話はまだしたことがないですね^^
by mimimomo (2014-01-27 07:01) 

Kanna

これは面白いお話ですね^^
筆や画材なんかもそうかもしれませんが、何かのきっかけでその物の知識や魅力を知り、そのままハマってしまう方達の気持ちも分かるような気がします^^
そんな私は小さい頃、眼科で使われていたに視力調節用レンズ(縁だけの眼鏡にはめ込んで視力を調節するレンズ)にハマりました(笑)

by Kanna (2014-01-27 21:17) 

アヨアン・イゴカー

optimist様、砂漠のラクダ様、makimaki様、せとっこ様、般若坊様、Enrique様、doudesyo様、kinkin様、ビタースイート様、carotte様、flutist様、maco様、kurakichi様、八犬伝様、yamagara22様、sig様、めもてる様、glennmie様、ゴードン様、enpoko様、ken様、夢の狩人様、caveruna様、minsuke様、kohtyan様、海を渡る様、くらま様、mimimomo様、moz様、常武鉄道様、gigipapa様、YUTAじい様、森田恵子様、ChinchikoPapa様、さらまわし様、SILENT様、めりっさ様、めぎ様、アリスとテレス様、youzi様、siroyagi2様、ミスター仙台様、まっちゃん様、シルフ様、シラネアオイ様、youzi_x様、e-g-g様、silverag様、えれあ様、山子路爺様
皆様nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2014-02-02 22:08) 

アヨアン・イゴカー

Enrique様
鋏の種類(切るもの)によって研ぎ方が異なると言うのは、当たり前のことなのですが、考えてもいなかったので新しい知識となりました。
砥石も、いろいろあるのかもしれませんが、聞きませんでした。剃刀は、子供の頃は、床屋には革の帯がぶら下げてあり、それで何度か研いでから、剃ってくれました。

maco様
有難うございます。宜しくお願いします。

sig様
最近は、土曜日か日曜日には散歩がてら劇団民芸の前を通って、若葉台のヤオコーで買い物をしています。

mimimomo様
山によく行かれるので、そういう話になるのでしょうね。私は山どころか、殆どどこへもゆきませんので、山や植物の話はできません。この床屋の若旦那、ナナハンを持っていて、休日には部品を磨いたり、ツーリングに仲間と出かけるそうです。その仲間には医者もいると言うことです。いろいろな仲間があるものですね。

Kanna様
道具というのは、それ自体が芸術作品に近いものがありますね。大量生産されればその値段はそれほどでもありませんが、そのものが作られる過程で職人たちがあれこれ工夫しているのですから。工夫は、もう、芸術にかなり近いものだと思います。
私達は道具を使いますが、道具そのものが生きるように使いこなしてゆきたいですね。

by アヨアン・イゴカー (2014-02-02 22:21) 

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