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私の諺、喩え集 その1 [随想]

20101212日(日曜日)

私の作った諺と喩え その12010127日分) 

 私の家には以前、最大同時期に6匹の猫がいた。その中の何匹かに私は悪戯をしたものである。気持ちよさそうに座布団の上で昼寝しているその長閑な姿を見ると、つい手が動いてしまうのである。髪の毛を一本抜いて、すーすー寝息を立てている寅次郎君の鼻孔に挿し込む。鼻の粘膜に異物を感知した次郎君は首を振ってそれを取り除こうとする。しかし、私は諦めない。再挑戦。そうすると、異物を体が反射的に噴出そうとしてくしゃみが出る。これを見て、やはり鼻の中に入った毛は、くすぐったいのだと分かる。

 猫の鼻孔に髪の毛を入れるような

予期せぬこと、くすぐったくくしゃみも出るではないか

 

 象は、アフリカ象にしろアジア象にしろ、その体重は単位が噸である。感動的な重量である。その体を支える足はそれ故扁平で、体重を均等に分散できるようになっているし、土台構造そのものが鉄筋コンクリートのようですらある。象の足の裏を擽ってみたいという衝動に駆られたことがある。残念ながら実験できないでいるが、恐らく革靴を常時履いているようなものであるから、擽っても笑ってはくれないだろう。

 red and white plum trees.JPG象の足裏を擽る

全く効果がない

 

 猫には炭水化物の大好きな種類の物がいて、面白い。もうとうに死んでしまった桃子という猫は、パンが大好きだった。桃子を家の中にいれたまま外出することがあったが、夕食に食べようと思っていたパンが、ビニール袋を食い破って食べられ床に落ちていたことがある。貧爾君もどうようで、スナック菓子が大好きで、千切ったものを放り投げると飛んで行って食べた。ある日スナック菓子投げの途中で食べ物ではないものを放り投げたら、首こそかしげなかったが、臭いを嗅いでから判断の付きかねる顔つきをしていた。

 ライオンがシナモンクッキーを食べたような顔

不得要領な様

 

 劇団木馬座時代にNT君という、東京造形大学を卒業した小道具方のアルバイトが来てくれた事があった。彼は制作室で仕事の合間に有名人の物真似をしてみせてくれた。それが全く似ていなかった。だから似ていないことが面白かった。その彼の下手な物真似を私がしてみせたら、「そりゃぁ、彼に悪いよ。」と言われ、随分落ち込んだことがあった。

 鸚鵡の真似をするインコ

物真似の物真似をする、その空しさ

 

 最近の職場での話。日本の若い女性が長い付け睫毛をしているのが目立つ。日本人は彫が浅いので、ああやって陰影をつけて彫を深く見せようと努力しているのやら、あるいは目力と言う新兵器を装備しているのやら、と子供も巣立っている女性に言う。日本人には日本人の美しさがあるというのに、なぜ。でも私も若い頃は、自分にないものに憧れたものである

 麒麟と脚の長さを競う

徒労、無駄な行為

 

 馬鹿な話であるが、無知とは多くの無駄な経験をさせてくれる泉である。小学校3年生の時だったと思うが、温度を測るには温度計を使うのだということを理科で習った。ある夏の日、私はふとした出来心で、熱湯の温度を調べてみることにした。薬缶でお湯を沸騰させると金盥に注ぎ込む。その中に室温計を入れてみた。みるみる赤いアルコールが上昇してゆくので、流石にお湯は温度が高いなぁと感心していると、パチンと音を立てて割れてしまった。しまった!お湯は百度だった!と気づいたのは、アルコールがお湯に流れ込んだ後だった。

 毒茸を食べてみる

過剰な経験主義


nice!(75)  コメント(16) 

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コメント 16

mimimomo

こんにちは^^
人はいろんな無駄と思えることや、悪戯などから
いろいろな事を学ぶものですよね。
しかし像の足の裏を擽ることは考えた事がないですね^^
by mimimomo (2010-12-12 16:07) 

扶侶夢

いつもながらウィットに富んだエッセイが冴えわたっていますね。“毒茸を食べてみる過剰な経験主義”とはまさに言い得て妙。私のことを言われたみたいでドキッとしました(笑)
by 扶侶夢 (2010-12-12 20:39) 

maxell

当ブログへのご訪問ありがとうございます^^;
拙い管理人ですがどうぞ宜しくです♪
by maxell (2010-12-13 00:47) 

nyankome

昔、寝ている生徒の鼻にチョークを突っ込んだ先生がいました。
その1ということは・・・続編も楽しみにしています。
by nyankome (2010-12-13 00:55) 

Enrique

特に後半のがシンプルで冴えていると思います。
鸚鵡の真似をするインコ:茶髪ももう普通になりました。北欧の人たちとかは黒髪にあこがれるようですが。頭の大きい日本人は,白っぽくするとさらに膨張すると思うのですが。
毒茸を食べてみる:理屈より体験こそ一番とばかりに,なんでも経験主義を説く人に効きそうです。

by Enrique (2010-12-13 00:59) 

yakko

お早うございます。
それぞれに楽しませていただきました ∈^0^∋  観察力 実践力 に(。)カンド- 毒茸を食べるのは止めてください。あれっ ! (?_?)
by yakko (2010-12-13 05:45) 

kakasisannpo

麒麟と足の長さを競う
なんてのは単純ですが 切れが良い
アフリカで、麒麟を眺めていると、異常に長ーい気がします
人間は人間の長さが一番ですね

毒茸でも、食べてみないとそのうまい味を知らないで死ぬことになるんです
時に食べてみないと
生命あるものは何時か遅かれ早かれ死ぬのですし
by kakasisannpo (2010-12-13 10:41) 

duke

使わせて頂きますm(_ _)m
by duke (2010-12-13 12:42) 

青い鳥

現在私が教えている学生のうちの何人かは
>象の足裏を擽る
ような状態です。(あまりにも欠席が多すぎて)
by 青い鳥 (2010-12-13 13:48) 

まっちゃん

石橋を叩いて渡らない。
意味:どうせ渡るなら叩かない方が安全(^^;)
by まっちゃん (2010-12-14 11:04) 

旅爺さん

色んな事やったり考えてみたりするのも面白いですね。
猫を試してみよう。象の足は固いけど玉子も踏まないのをテレビで見ました。
by 旅爺さん (2010-12-15 05:51) 

Mineosaurus

面白いですね。ところで、キノコ専門の書物には経験的表現がよくあります。月夜タケを円座で食って互いににどんな反応が出たかとか。死なないという確信があって適量(と言うのかな)であるという自信に基づいているのでしょうが、結構リアルですね。
by Mineosaurus (2010-12-16 06:36) 

matcha

鸚鵡の真似をするインコ
これは、面白いですね。
真似たものが、そのもの自身が真似たもの。
でも、その元も真似たものだということも有りますよね。
こうして、歴史は繰り返されるのかも・・。
by matcha (2010-12-16 22:20) 

アヨアン・イゴカー

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皆様 nice有難うございます。

by アヨアン・イゴカー (2010-12-19 22:04) 

アヨアン・イゴカー

mimimomo様
人生は、殆どの「無駄」から有意義なことが生まれてくるのだと思います。ですから実際「無駄」なことは無いことになります。行動全てに意味があり、存在の全てに意味があると思います。
ところで、猫の脇を擽っても、ちっとも反応してくれません。

扶侶夢様
過剰かもしれませんが、経験によってしか生き物は学ぶことができない仕組みになっていると思います。それが事前に分かれば素晴らしいかもしれませんが、味気なくなります。

maxwell様
魚の写真、綺麗ですね。宜しくお願いします。

nyankome様
チョークを突っ込んだ教師、酷い人です。でもユーモアがありますね。
生徒にも人気があったのではないかと思います。

Enrique様
職場などでは、馬鹿馬鹿しい経験主義、過去の栄光(大したことは無いにも拘らず)にしがみついていて、それを元に彼らの経験を強いる人々がいます。面白いことに、彼ら全員が失敗して去ってゆきます。(現実を認識できないからです。)

yakko様
坂口安吾の随筆に『ラムネ氏のこと』とか言うものがありまして、その中にフグを食べて安全なふぐ料理にしてくれたフグ食い殉教者がいた、と言う話がでてきます。

kakasisannpo様
そうですね。恐れていてはなにも前に進みません。
「勇者のみが佳人に値する」ですね。

duke様
そうですか?光栄です。

青い鳥様
反応できる神経まで届いてくれない人に対して信号を送り続けるのは、
疲れるでしょうね?

まっちゃん様
石橋を叩き壊しながら渡る、というのは以前考えたことがあります。
石橋だって絶対的に強度が保証されているわけではありませんから、
叩いたことによって壊れることもあるのではないかと思います。

旅爺さん様
是非お試しあれ。面白いですぞ。これは猫の虐待ではありません。スキンシップの一種です。へへへ。
象は卵をあの分厚い足の裏で感知できるということですか?それは凄い。

Mineosaurus様
薬というのは、毒キノコに似ていると思います。本当に安全かどうかは、歴史が決めることであって、短期間の実験で検証できるものではないと思います。

matcha様
亜流の亜流。
仰る通り、本家と言われる人も、他人の真似から始めているわけで、万物はその祖先のおかげで現在があるのだとつくづく思います。


by アヨアン・イゴカー (2010-12-19 22:51) 

youzi

「毒茸を食べてみる」、キノコが大好きなので、
一度やってみたいです。笑い出すくらいならいいですが、
命を落とす事もあるんですかね。
って、とっても脳天気ですね。
by youzi (2010-12-20 20:20) 

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