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映画感想および猫の放屁丸の話 [随想]

 

2010-11-13 土曜日

今日は、DVDを二本見る。木下恵介監督の『女の園』と『お嬢さん乾杯!』である。前者はしっかりとした構成で描かれていて、社会背景も歴史も思想も非常によく分かり、奥の深い作品である。高峰三枝子は厳格過ぎる女を、浪花千栄子は人情味のある女を見事に演じていた。社会、文化、歴史、因習などから自由になれない人間達が巧みに描かれていたが、これは過去ばかりではなく現在でも進行中の現象なのである。緊張感があり、つい見てしまう映画である。また、久我美子の顔が、何だかロベスピエールのように見えたのも不思議である。原作は阿部知二の小説『人工庭園』だそうで、見た後に、この文章を書くためにウィキペディアで調べ知って納得した。

 朝食後にこの作品を見たので、別段もDVDは見る心算はなかったのだが、女房殿に夕食後『お嬢さん乾杯!』見ないなら、明日返却しちゃうよ、と言われ90分という長さにも引かれ、見た。これはほのぼのしている作品で、原節子の姿にすっかり魅了されてしまった。見とれてしまう。こういう風に映画を撮られると、女優の印象はそれなりに作られてしまうものなのだろう。白黒映画の滋味が十分に出ている。勿論昭和二十四年(1949年)三月完成となっているのであるが、銀座の服部時計店の建物の回りも殆ど高いビルがなく、のどかである。都電が走り、自動車も少なく、六十年前の日本を見ているのに、まるで別の国のようで、時間の経過による自国文化への異国情緒が高まる。ユーモアのセンスも好い。(バレエやピアノの水準が随分低いが、こういうものの積み重ねがあって初めて、現在の水準になっているのであろう。)新藤兼人が脚本を書いている。流石に見事な出来栄えである。娯楽映画として、二度三度見ても飽きないだろうと思う。 

@M or hohi-maru 2010-11-13.JPGさて、今日は我が家の猫の新顔の紹介。アトム(@M)と言う。額にMの字があるので、最初雌だと思いMちゃんと呼び、その後雄であると知りM太郎とか呼んでいた。M太郎では何だか何かを省略しているようなので、女房殿が@Mアットエムでアトムにしようとつけたのである。

そのアトムの幼名が11月11日木曜日に決まった。体は比較的雄にしては小さいのに、お腹が馬鹿に大きい。どうやらガスが溜まるようで、オナラを頻発するので、私が屁こき丸と呼んだところ、女房殿が放屁丸が好いと言うので、これで決まりである。元服後の字はアトム、幼名放屁丸である。ー和主義者であるゆえ、彼の得物は(におい)(かぜ)である。この臭風は大んな威力を持っているので、耳が千切れた方とか、片目が傷でふさがれていつ方とか、どんなに恐いお兄さん風の野良が来てもー気のー左である。

今でこそ、このへー法を身につけて、天下泰へーを楽しんでいる放屁丸先生も、若かりし頃、このへー法を体得するまでの道程はへー坦ではなかったのである。この臭風と言うものは、なかなか自分の意志で放つことができるものではないのである。江戸時代に、まるで口と同じように自由自在に音程を出して口笛のような演奏をしたり、蝋燭の火をひり消したりすることが出来る男がいて、見世物小屋を賑わしていたようである。この男にしても、生来持った特技とは言うものの、不断の訓練があったればこそ人様の前で臭風の妙技を披露することができたのであろう。放屁丸先生も乳離れをしてからは、一匹猫となり、周りは敵ばかりになった。この生き馬の目を抜く世の中で生き残ってゆくためには、武芸百般に通じていればよいがそうもゆかず、一つの護身術を身につける必要性を痛感したのであった。そして、弘法大師よろしく遊行して苦行を修す。求聞持(くもんぢ)観念明星飛び込部分下腹部黄金一瞬雲散霧消一陣涼風って下半身であった。時、涼風薫風気絶た。覚醒った有効武器を。流血ないへーへー主義者っての、素敵へーであ

それ以来、放屁丸は、このへー器を、世界へー和のために役立てることを誓ったのである。


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mimimomo

おはようございます^^
へーそんなものがへー器になるとは、今まで思ってませんでしたわ^^
by mimimomo (2010-11-14 10:09) 

yakko

お早うございます。 強力な武器(?_?)ですね〜〜(;゜ロ゜)
by yakko (2010-11-15 08:15) 

kakasisannpo

he-he-he-
どんなへーでも平気な人もいますから
平素から 耳を欹てて 気をつけなければ

by kakasisannpo (2010-11-15 09:06) 

Enrique

放屁丸,ユニークなポーズですね。元服したら何て名前になるのでしょうかね。
by Enrique (2010-11-15 09:13) 

優花風音

美しい文字ですね!そして、イラストも素敵。
おなかがぷっくりしていて放屁丸は苦しくないのでしょうか?
by 優花風音 (2010-11-15 14:10) 

せつこ

ご訪問ありがとうございました。
by せつこ (2010-11-19 10:28) 

yakko

こんばんは。お越し戴きアリガトウございます。
by yakko (2010-11-20 22:55) 

アヨアン・イゴカー

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by アヨアン・イゴカー (2010-11-21 22:57) 

アヨアン・イゴカー

mimimomo様
あのケダモノは癒し系ですから、家に帰ると楽しくなります。

yakko様
敵味方を区別しないところが、未完成である証であります。
友軍に発砲するのはやめて欲しいものです。

kakasisannpo様
他者の存在を気にしない向きもございますが、私の伯父は「ちょっと失礼します。」と言って、別室で開放して戻ってきたものだと、母から聞いています。

Enrique様
放屁丸が体を舐めたりして動き回っている時に、描きとめた絵が元になっています。デフォルメしています。お腹を出して舐めていたのですが、ちょっと「おひけぇなすって。」みたいにしてみました。元服後の名前は@Mアットム君です。

優花風音様
お腹を舐めているポーズですので、多分結構苦しいのではないでしょうか。
字、お褒め頂き有難うございます!

せつこ様
赤蕪、美味しそうですね、そして色が美しい。

yakko様
またまたご訪問頂きまして、有難うございます。






by アヨアン・イゴカー (2010-11-21 23:12) 

youzi

放屁丸、ちょっと可愛い名前って思ってしまいました。
弟がよくおならをするので、「ぶっこき君」と言うあだ名がありました。
そうそう、ももが音もなくおならをして、知らん顔していた事を
思い出しました。知らん顔しても、においがするので、
すぐに分かってしまうんです。でも、いつもあたしじゃないの
って顔をしていたんですよ。
by youzi (2010-11-22 22:50) 

sig

こんにちは。
アトム君の幼名を考えた後付としての物語の創作、お見事、という他ありません。大笑いしながら、まことしやかな来歴をそのまま受け止めてしまいそうになりました。笑
放屁芸人が愛妻と旅回りをする「おっぱいとお月様」(1994)というほのぼのとした映画がありますね。また放屁芸人はローマ時代にも居たみたいですね。

by sig (2010-11-25 14:23) 

アヨアン・イゴカー

youzi様
ぶっこき君、凄く迫力のある名前ですね。
放屁丸も、音なしの構えも得意です。

sig様
放屁丸の修行の場面、今昔物語の弘法大師を参考にしました。
ローマにも放屁芸人がいたのですか。人間のやることは、どこでも同じなのですね。
ところでyoutubeに、動画(YouTube-Aoyama Hotori)をアップしましたので、お時間がある時にご覧下されば幸いです。
by アヨアン・イゴカー (2010-11-29 02:11) 

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