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「セロ弾きのゴーシュ」より「野ねずみの母子のための独奏曲」 [音楽]

今日はチェロの独奏曲を公開致します。この曲は既にMuzieで登録しています。
ゴーシュのところへ野ねずみの母親が子供を連れて参ります。

「先生、この児があんばいがわるくて死にそうでございますが先生お慈悲になほしてやってくださいまし。」
「おれが医者などやれるもんか。」ゴーシュはすこしむっとして云ひました。すると野ねずみのお母さんは下を向いてしばらくだまってゐましたがまた思ひ切ったやうに云ひました。
「先生、それはうそでございます。先生は毎日あんなに上手にみんなの病気をなほしておいでになるではありませんか。」
「何のことだかわからんね。」
「だって先生のおかげで、兎さんのおばあさんもなほりましたし狸さんのお父さんもなほりましたしあんな意地悪のみゝづくまでなほしていたヾいたのにこの子ばかりお助けをいたヾけないとはあんまり情ないことでございます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴーシュはおっかさんのねずみを下におろしてそれから弓をとって何とかラプソディというものをごうごうがあがあ弾きました。するとおっかさんのねずみはいかにも心配さうにその音の工合をきいてゐましたがたうとうこれへ切れなくなったふうで
「もう沢山です。どうか出してやってください。」と云ひました。
「なあんだ、これでいゝのか。」・・・・・

 ゴーシュはセロを床へ置いて戸棚からパンを一つまみむしって野ねずみの前へ置きました。
 野ねずみはもうまるでばかのやうになって泣いたり笑ったりおじぎをしたりしてから大じさうにそれをくはへてこどもをさきに立てて外へ出て行きました。
「あゝあ。鼠と話するのもなかなかつかれるぞ。」
・・・・・・・・・・・・・・・

ここでゴーシュが弾くなんとかラプソディーを書いてみました。

オペレッタ『かしはばやしの夜』の『かしはのき大王の行進』をアップしようとしたら、容量が5MBを超えています、と言う表示が出ました。確かに、6MB以上ありました。他にも歌劇『外套』の序曲でもアップしようと見てみると、これも8MBありました。もう少し容量の少ないものを、時々公開させて頂きます。 


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コメント 8

いっぷく

物語のイメージを自分の思い描く旋律で表現するなんて
なんと素晴らしい創作でしょう。
音にひきこまれました。もうすこし容量があるといいですね。
by いっぷく (2008-06-08 20:06) 

doudesyo

もう少し容量があれば、納得できる内容で表示できるんでしょうね。
なんとかラプソディーのイメージをこの曲が幅の広い場面を連想させてくれます。さすがです。
by doudesyo (2008-06-08 22:50) 

AWFUL

はじめまして、先日はご訪問、「nice!」ありがとうございました。

文学作品を読んだとき「音符が頭に浮かぶ」というのは未体験の領域で、羨ましい限りです。
私なんて、「腹に一物あるこの役には、あの俳優がイケる…」といった、下世話な発想しか浮かびません。

アップされていた曲、わたしのPCでは「ごうごうがあがあ」高音質で聞けないのが残念です。


by AWFUL (2008-06-08 23:06) 

アヨアン・イゴカー

8macky様、aia様、ラナ様 nice有難うございます。

いっぷく様
物語のイメージを思い描く旋律で表現している訳でもありません。感じるままに書くだけなのです。時々、あらぬ方向へ行ってしまうこともあります。

doudesyo様
私は宮沢賢治のこの童話が大好きです。動物とのやりとりが、動物の性格を見事に捉えながら、楽しく描かれているからです。
>野ねずみはもうまるでばかのやうになって泣いたり笑ったりおじぎをしたりしてから 
私はこの表現が大好きです。嬉しさをこのように表現するとは、なんとも見事です。性善説に立脚した表現ではないでしょうか。何よりも賢治の諧謔の感覚がとても素晴らしいと思います。「なんとかラプソディー」と言う賢治の表現も愉快です。

AWFUL様
正確に言いますと、音符が頭に浮かぶのではありません。無からどんどん書いてゆくだけなのです。興が乗ってくると、大体気に入った作品になります。これからも宜しくお願いします。
by アヨアン・イゴカー (2008-06-08 23:51) 

olive

私の今年の年賀状は、おこがましくも、
このあたりのシーンから発想して絵を描きました。
全然お話とは関係ない絵ですけどね。
このお話、絵を描きたくなるお話でもあると思います。
by olive (2008-06-09 18:34) 

エア

個性的なブログです。
創作は楽しいようでエネルギー使います。
by エア (2008-06-09 20:30) 

yoku

実は「セロ弾きのゴーシュ」本棚で発見!実は嫁に行った
娘の置いていった本(今、小生が書斎で使っています)。
私はヨーロッパ中世関連しか今のところ買っていませんので
不思議だなーと思っていたら、どうやら娘が読んだ本と
納得(笑)。いい童話ですね。それにつけた曲ですね。
なんとかラプソディ、賢治らしい発想ですね。曲もスンナリと
はいってきました。いいですねー。
by yoku (2008-06-10 18:48) 

アヨアン・イゴカー

花火師様、旅爺さん様、デザイン屋様、lapis様、optimist様、すうちい様
nice有難うございます。

olive様
コメント有難うございます。
茂田井武が『セロ弾きのゴーシュ』の挿絵を描いたものがありますが、ご存知でしょうか。私の家族は皆茂田井武ファンです。そのため、私はゴーシュの印象は、茂田井のゴーシュなのです。

エア様
コメント有難うございます。
創作は私のエネルギーの元です。私は書いていないと、欲求不満がたまり、仕舞いに爆発して、書きます、描きます、作ります。

yoku様
>曲もスンナリ
嬉しいです。
私は独奏曲と言うのも好きです。その楽器の特性が現れるからです。音量が小さめだったのですが、それはヤマハのMU2000と言う音源の方だったからかもしれません。

by アヨアン・イゴカー (2008-06-11 00:19) 

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