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Paul Delvauxポール・デルヴォー版画展 [日記・雑感]

yoshizawa garden galleryDSCN3129.JPG 今日は市川市真間5-1-18にある芳澤ガーデンギャラリーへ『ポール・デルヴォー版画展』を観に行く。ここで展覧会が開かれることは7月頃に国府台駅改札にあるチラシで知っていて、ずっと楽しみにしていた。ボール・デルボーは油絵の展覧会が催された時に、時機を逸して見損なって暫く後悔していたのだった。チラシに載っていた『庭』がとてもデルヴォーらしくて、原物も見てみたかった。
 京成線の国府台駅を下りて、和洋女子大学の方へ歩く。手前の歩道橋を右折。すると右手に木内ギャラリーの表示がある。更に千葉商科大学に平行している細い道を進んでゆくと右側に真間山弘法寺(ぐほうじ)がある。この寺はもともと開祖は行基だと言う。求法寺と言う表記だったものが弘法寺に後年なる。弘法寺は紅葉狩りが有名らしい。手児奈(てこな)と言う国造の娘の物語が有名な土地であることも帰宅後wikipediaで調べ分かる。上田秋成の『雨月物語』中『浅茅が宿』も下総葛飾真間の手児奈の伝説を下敷きにしていると言う。調べているうちに、とても素晴らしい場所に今日は来ていたことが分かり嬉しくなる。
 緑の多い住宅街の中に芳澤ギャラリーはあった。美しい場所に、美しい建物の画廊であった。
 P . DelvauxDSCN3145.JPG訪問する客も少なく、静かな空間と時間をゆっくり楽しむことができた。『ペン画物語』を書くに当って、少しは版画やエッチングのことも知っておこうと考えていたが、それとは全く関係なく、有意義な時間を過ごすことができた。デルヴォーにとって鏡、海が特別な意味を持っていたことも分かった。彼は鉄だったようだ。
 『海岸』と言う作品は、何故かボッチチェリの『ビーナスの誕生』を思い出させた。つまり、デルヴォーの海への憧れが、あのボッチチェリの海とアコヤ貝の描写が共通しているように見えた。
 左の絵は『ささやき』絹織物。デルヴォーの女性。彼は女性の裸体を沢山登場させているが、全くいやらしさは感じず、ギリシャ彫刻の石膏像でも見ているような感じがする。それは彼が女性を美しいものとしては見ているが、官能的な完成では捉えていないからではないかという気がする。
 デルヴォーの絵はシュルレアリスムの手法があり、遠近法や多消点が使われているのが面白い。彼は、どのような派閥にも属さず、彼自身の好きな世界を描き続けたようである。P. DelvauxDSCN3142.JPG芸術家としては、一つの理想的な生き方をした人間ではないかと感じた。左にある『庭』の絵、少しルネ・マグリットにも通じる世界がるが、やはりこれは間違いなくデルヴォーである。その絵を見て、直ぐに作家が分かると言うことは作家にとって非常に重要な点だと思う。誰が描いか分からない作品を描いても、空しい。「これは間違いなく彼の絵だね。特徴があるもの。」とか言って欲しいのだ。言われなければまだ作風が確立していない証拠である。
 デルヴォーの版画で面白かったのは「クロード・スパーク『鏡の国』のための連作」作品群である。そんなに古い作家ではないのに、その挿絵は19世紀を髣髴させる。若くして死んだ妻を剥製にし、剥製が変化した時ナイフでばらばらに壊してしまう男の物語が暗示的で、読んでみたいと。こういう挿絵はとても魅力的だと思った。残念ながら、クロード・スパークとは仲たがいしたため、挿絵としては一緒には発表されなったようだ

 超現実主義、ポールデルヴォーに興味のある方には断然お薦めの展覧会である。11月27日(日)まで実施している。
 このギャラリーの手前には木内ギャラリーがある。こちらは旧木内家別邸である。大きな樹木に囲まれて立っている。今日P DelvauxDSCN3144.JPGは、残念ながら16:30を過ぎていたので中にはいることは出来なかったが貴族議員も勤めた木内氏の立派な建物を再建したものだそうだ。我が家は川崎市麻生区であるが、市川市のこのギャラリーまで行くのにまるまる2時間掛かった。もう少し近ければ都思うが、遠いからいいのかもしれないとも思う。
 左のえは『ダンス』と言う絵だったと思う。この絵でも女性は裸である少しもエロティシズムを感じない。

 


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mimimomo

おはようございます^^
市川市にそう言うものがあることを知らなかったです。ギャラリーは結構小さいのが多いですものね~
時間があれば行きたい所ですが、、、
by mimimomo (2016-11-06 06:11) 

Enrique

落ち着いた場所の様ですね。
このような空間でならば非日常的な絵画も引き立つ様に思います。
by Enrique (2016-11-06 17:33) 

Kanna

ポール・デルヴォーの作品は本当に素敵ですよね、私も大好きです^^
デルヴォーの作品には女性の裸体がたくさん登場しますが、アヨアンのおっしゃる通り、全くいやらしさがなく、逆に清々しいくらいに美しく、見る度にその美しさに目を奪われます^^
先日のアヨアンさんの挿絵はキリコ風でしたが、機会があればぜひデルヴォー風の挿絵も拝見してみたいなと思います^^
アヨアンさんの描く女性像も美しいので、デルヴォー風にアレンジされても何の違和感もなく、なかなか良い感じに仕上がるのではないかしら?と個人的には思っておりますけれども(*^m^*)
by Kanna (2016-11-08 11:25) 

グリンクリン

良い雰囲気の場所にあるのですね
5日間ほど船橋にいたのでポールデルボー展行きたかったです。
12月には芳澤ガーデンギャラリーへ行ってみましょう~
ありがとう。
by グリンクリン (2016-11-09 10:50) 

唐糸

素敵なガーデンギャラリーもあるんですね~
真間のあたりはいいところ、桜もきれいだった記憶があります。
by 唐糸 (2016-11-12 03:10) 

アヨアン・イゴカー

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皆様nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2016-11-13 14:18) 

アヨアン・イゴカー

mimimomo様
展覧会というと、宣伝により多くのお金を掛けていて、実際に行ってみるとがっかりすることがあったりしますが、今回の展覧会は入館料も¥500で、作品も60点あり、ゆっくり見られ、満足度がとても高かったです。広さも大きすぎないところがよかったかもしれません。

Enrique様
展示場所、その所在、そこに至るまでの道のり、天気、光などは、展覧会の重要な演出要素だと思います。今回の展示は、それらの多くの要素が、非常によかったと思います。

Kanna様
どうもデルヴォー風は描けるかどうか分かりません。その構図などには興味を覚えるのですが。
デルヴォーの描いた挿絵、細部まで丁寧に描かれていて、面白かったです。

グリンクリン様
ちょと分かり辛いかもしれませんが、そういう場所の方が到着した時の有難さが違います、恐らく。
デルヴォー展は11/27までです。
12/1-11は「第4回『いちかわ未来の画家コンクール』作品大募集!」と言う中高生向けの企画で、その入賞作などでしょうか、12/24~1/15まで展示されるようです。

唐糸様
真間をご存知なのですね。旧木内邸の周りには巨木があり、ほっとする空間がありました。ネットで調べてみて、行基や上田秋成の名前が出てきて驚いておりました。
by アヨアン・イゴカー (2016-11-13 14:47) 

doudesyo

こんばんは。
ポール・デルヴォーの展覧会をうん10年前に見たきりでしたので、懐かしいです。彼なりの表現が独自世界観を出しているので見ごたえがありますね。^^;
by doudesyo (2016-11-26 19:28) 

アヨアン・イゴカー

doudesyo様
私は、大分前に来ていた時、見に行くつもりだったのに、見逃したのでした。暫く時々思い出しては後悔していました。
個性的な画家は良いですね。見ていて、いろんな発見がありますから。
by アヨアン・イゴカー (2016-12-04 14:24) 

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