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安藤 榮作 「空気の狭間」展 [日記・雑感]

 20181119安藤栄作 空間の狭間DSCN4184.JPG昨日月曜日は、世田谷区祖師谷にあるGALLERY TAGA2で開催中の安藤榮作「空気の狭間」展に行って来た。期間は11月1日から11月26日まで。
 安藤さんはfacebookで知った作家で、その活動、発言がとても面白いので、是非ご本人にお会いしてみたいと考えていた。バイクライダーで、ホンダCT110(TRAIL110北米仕様)が愛車ツバサ号である。このバイク排気管が上の方についていて、浅い川なら渡ることができる優れものである。
 作品は、檜を手斧で削った彫刻である。鉛筆一本くらいの作品から二メートル位の作品が展示してある。小さな物も大きな物も、どちらもよく研いだ手斧で削るそうである。お話を伺っていて面白いと思ったのは、檜の地域による違いである。以前の創作拠点であった福島の檜と現在の奈良方面の檜とでは、赤味(心材)と白太(しらた:辺材)に違いがある。赤味は硬く、白太は柔らかいので、斧の使い方に注意が必要なようである。不思議なのは京都?の檜材には、赤味の部分が中心だけではなく白太の外にあるものもある。一般的には気候が寒冷なほど、或いは過酷なほど樹木は成長が遅く年輪が狭くなり、硬くなり、重くなる、という話をどこかで読んだ記憶があるが、大工さんだけでなく、木材を使っている彫刻家にもいろいろな材質の知識が必要なことが改めて分かり面白かった。
 作品は、平たいので、丸太をここまで削ってしまうのかどうかお尋ねしたところ、丸太の半分以下に割られたものを使用して、設計図も完成予定図もないまま、前面と背面とから削り落としてゆくとのお答えだった。一見、削り落としただけのように見えるが、斧の一打ちずつに連動性があり、血管のように、すべてが繋がっているとのこと。
 その平べったい形は、すぐにジャコメッティを連想させ、また、その自由闊達、奔放に見える斧さばきは、円空仏を思わせる。しかし、独特の世界があり、独自の世界が作り出されていると感じた。
 今回は出展されていないが、facebookを拝見すると、楽しそうなアトリエには兎のような耳の長い不思議な動物も所狭しと並んでいる。
 彫刻家安藤さんのことを、よく知らないまま(同級生は「先生」と呼んでいた)、その人柄と作風に惹かれてお邪魔した「空気の狭間」。初めてお会いしたのに、形式に拘らない方で、実に楽しい、有意義な時間を送ることができた。(有難うございました。)
 
場所は小田急線祖師谷大蔵駅北口から徒歩5分くらい。
安藤 榮作 空気の狭間
2018/11/1~11/26 12:00-19:00 
最終日12:00-17:00
水曜・日曜・祝日休み 
http://gallerytaga2.com/access
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mimimomo

こんばんは^^
檜の彫刻ですか。きっと良い香りが充満しているのでしょうね^^
彫刻は使う材料でかなり削り方、力の掛け方が違うのでしょうね~
by mimimomo (2018-11-20 18:17) 

Enrique

檜は針葉樹の中では削りやすいのだろうと思います(杉の方が難しく,彫刻には全く向かないはずです)。
大工仕事で檜と杉はかなり削りましたが,本当に木の個性は千差万別だと思います。同じ樹種の中でも差異はかなりあって彫刻家はもちろんでしょうし,昔の大工さんは木の癖を読むのが仕事だった様ですが,その技術が面倒なので,集成して画一均質化を図った木材が幅を利かせています。
赤身と白太の違いはその大きなものですが,赤身も成長の過程では白太だったはずで,その変化が地方によって異なるということでしょうか。細くても赤身の多い材とか太くても白太の多い材とか様々です(私が使うのは安い間伐材がほとんどですが)。
by Enrique (2018-11-22 05:44) 

doudesyo

おはようございます。
ご本人とお会いしたんですね。彼はこちら福島の方で私もほんの少しですが関わりがありました。彼がまだ駆け出しの頃です。なかなか良い作品を作られていたのでとても楽しみにしていたし評価もされていたのですが、東日本大震災のおり移住されちゃいましたのでこちらでトンと話題がなくなっていました。
東京での個展などご活躍されているのでほっとしました。^^;
by doudesyo (2018-11-23 09:51) 

アヨアン・イゴカー

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皆様nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2018-11-26 10:00) 

アヨアン・イゴカー

mimimomo様
会場は檜の香りはしませんでした。恐らく、アトリエはいい香りがすると思います。彫刻でも絵でも料理でも、何でも同じですが、素材を如何に活かすか、発展させるか、眠っている物を呼び覚ますか、それが腕だと思います。
安藤さんは、著名な方で、wikipediaも作成されていますし、画像もウェブで御覧になれます。

Enrique様
安藤さんのお話で興味を惹かれたのは、ヨセミテ公園にある樹齢1~3000年というジャイアントセコイアでした。遠目には普通のセコイアと変わらないのに、近づくと巨大。樹皮の鱗も、一つ一つが通常の物の何倍もあるそうで、同じ寸法の物が他の個体よりも沢山集まったものではなく、風船を膨らませたように部品が膨張している印象を受けました。気さくな方でした。

doudesyo様
doudesyoさんもご存知だったのですね。安藤さんって、面白い人ですね。
しかし、面白いだけではありませんでした。
2017年には第28回平櫛田中賞を受賞されていて、友人の方が「彼はもう先生ですよ。今のうちに作品を買っておけば、高くなりますよ^。^」と言っていました^^;(気安く話し掛けすぎたのを少しだけ反省)

by アヨアン・イゴカー (2018-11-26 10:32) 

mimimomo

こんにちは^^
安藤栄作さんってずいぶん個展やグループ展をなさっているのですね。
読んでいて、あーわたくしはやはり門外漢だって思いました(-。-
by mimimomo (2018-11-27 14:59) 

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