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ピアノ組曲『らくがきの空』より第三曲『雨乞師』 [音楽]

 美術コミュニティーHOMUTYの住人松橋貴之さんのペン画『らくがきの空』の絵から、今回は『雨乞師』と言う独奏ピアノのための曲を書きました。書き始めたのは五月だったのですが、完成のための最後の10小節位を書くまでに数週間間があいてしまいました。弦楽四重奏曲の終曲を書き始めていたためです。いずれにせよ、今日完成し、公開します。
 絵の題名は『雨をまつ人』です。細長少年が蓑虫のような服を着て、天を仰いでいるのです。空に向けられた掌は、雨が降って来るのを受け止めようとしているのでしょうか。軽く上げられた細い左脚は、きっと大地を律動的に叩いているのでしょう。
 そこで、私はこの絵から雨乞師による祈祷の音楽を書くことを考えました。そして、大地をゆっくりと踏みしめる足踏みから曲を始めました。祈祷師が踊るので、三拍子です。この辺はいかにも通俗な発想かもしれませんが、仕方ありません。雨乞師と空との駆引きが繰り返されます。空の関心を惹こうと少年は一心に踊ります。空は最初は知らん顔をしています。が、その熱心な踊りに興味を示します。
 暫くの沈黙の後、雲が湧き起こり、彼方から湿った風が吹き始めます。そして、少年は更に激しく踊ります。
 やがて、金色の雨粒が降り注いできます。それを少年は口に、手に、髪に受けます。
 続いて、少年の喜びの踊りです。雨乞師の少年は大地を蹴って走り去ります。

 この曲の次予定しているのは『海底に沈んだ国の王女』。そして、最後の5曲目てして書くのは『らくがきの空』の主題曲。全部で5曲からなる組曲になるよていです。
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コメント 14

aia

私は作曲をしたことがないのでよく分からないのですが、アヨアン・イゴカーさんが曲を作られるときはかなり明確なイメージがあるのですね。それに驚きました。面白かったです。
by aia (2008-06-29 07:10) 

にすけん

 作曲の背景事情からして、まさに音画的手法のお手本ですね。
 うらやましいです。
by にすけん (2008-06-29 09:22) 

すうちい

絵画的ですね。私は少年が激しく踊っているところが好きです。
by すうちい (2008-06-30 00:22) 

アヨアン・イゴカー

aia様 
明確なイメージがあるかと言うと、そんなことは全くありません。気分の赴くまま書いているのです。

にすけん様 
音画的手法!!実は、私の作曲方法は、実に絵画的なのです。旋律を書いて、次に色を塗ってゆくように音を重ねてゆくのです。

すうちい様
少年が踊っているところ、ほんのちょっとだけ、リストの『メフィストワルツ』を思い出しながら書きました。
by アヨアン・イゴカー (2008-06-30 01:23) 

アヨアン・イゴカー

さとふみ様、olive様
nice有難うございます。

aia様 補足:明確なイメージがあれば、それも一つの書き方なのでしょうが、そのようには書けないのです。形を決めておくと、大概上手く行きません。三島由紀夫が文章を書くようには、全く、書けないのです。暗い森の中を彷徨って、手探りしながら書き上げるのです。
by アヨアン・イゴカー (2008-06-30 01:57) 

yoku

小気味良い曲ですね。
「雨乞師」ということですが、今日のような雨の日にも
いいですね。素晴らしいと思いました。

by yoku (2008-06-30 06:46) 

ミモザ

初めまして、ご訪問をありがとうございました。
芸術家の方なのですね。そして猫好きさんで自然派。
芸術家以外のところは同じくです(^^♪
心を落ち着けて透明な心境で作曲に臨むと、インスピレーションが
おりてくるのですか?
作曲家の方に 是非、一度伺ってみたいと思っていました。
この音楽はピアノ音がとても小さくしか聞き取れなくて残念です。
それなのに迫力を感じます。大きな音で聞けるようにしたいです。


by ミモザ (2008-06-30 09:38) 

SAKANAKANE

あまり関係無いかも知れませんが、酒見賢一の「陋巷に在り」の一場面を、思い出してしまいました。
by SAKANAKANE (2008-07-01 00:35) 

アヨアン・イゴカー

yoku様 
小気味よいと言うご感想、有難うございます。今日から、途中になっていた弦楽四重奏曲第八番の第3楽章を完成に向けて書いています。

さとふみ様、olive様、旅爺さん様、lapis様 nice有難うございます。

ミモザ様 わたくしは猫が大好きです。最高飼っていた時には6匹いました。野良ちゃんも家に入ってくることも結構ありました。今では一匹も買っていません。
ところで、作曲の方法ですが、心を落ち着けて無念無想でいると浮かぶ、と言うものではありません。小さい子供が土を無心にいじくっているようにしていて先に進むこともありますが、最近は頭の中で、いくつかの音程を試していて、音符にし、後は流れに従って書くばかりです。往々にして、感情が高ぶってきた場合の曲は、自分でも満足のできる作品になります。

SAKANAKANE様 酒見賢一の「陋巷に在り」が分かりませんでした。ウィキペディアによると、この作品他で中島敦記念賞を受賞した小説家なのですね。
by アヨアン・イゴカー (2008-07-01 01:04) 

mompeli

「らくがきの空」ってペン画を見ながら聞いてみたいものです
by mompeli (2008-07-02 13:12) 

旅爺さん

村人達も田んぼで稲が育つ今の時期に雨乞師は大歓迎でしょう。笑
正に農家の人達は、雨をまつ人 です。
by 旅爺さん (2008-07-03 07:22) 

アヨアン・イゴカー

mompeli様 niceとコメント有難うございます。
「らくがきの空」と打ち込めば、イラストをご覧になれます。果たしてイメージに合いますかどうか。

旅爺さん様 お早うございます!
私の両親は北海道で16年間未経験だった農業を体験しましたので、私も雨のことは農家の視点で見ます。空梅雨だったりすると、秋が心配になります。
by アヨアン・イゴカー (2008-07-03 09:04) 

旅爺さん

祈祷音楽で祈祷師が踊るなんて何処かの舞台で取り上げられそうですね。 温暖化にさへならなければ雪山から流れ来る水で助かるんですけどね。
by 旅爺さん (2008-07-04 08:28) 

アヨアン・イゴカー

夢空様 nice有難うございます。
いっぷく様 nice有難うございます。失礼しました!
by アヨアン・イゴカー (2008-07-05 21:24) 

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