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ピーターパン症候群 [変化]

 変化できず、子供時代の楽しさだけを維持しようとしたのが、バリーのピーターパンです。ネバーランドから戻ってきたら、窓が閉まっていて、家の中(大人社会)に入ることが出来ず、成長することのできなかった少年。或いは、変化することを阻止された少年だったのかもしれません。変化することの出来なくなった少年は、ネバーランドで冒険をして面白楽しく暮らしています。もっとも、その喜びは、他の喜びを知らない、無知に基づく喜びなのかもしれませんが。(この無知或いは無変化、の喜びは、後日論じてみたい話題ではあります。)
 一般的にはピーターパンのように永遠に少年でいることは出来ず、変化しながら成長してゆきます。その過程では、肉体的変化も精神的変化も、人生に於いて大きな意味を持っています。その変化の大きさは、人によっては外に向かって発散され、他者を傷つけたりすることも起こります。それと反対に自己自身に向かってゆく人は、自己自身の世界を作り上げたり(これはかなり積極的な場合)、自己否定を始めて自傷、自殺したりします。
 大きな精神的な変化が起こる時期は、自分の経験からすると、第二次性徴が顕著になってくる頃、高校受験の頃、大学受験の頃、そして、社会に出る頃が考えられます。第二次性徴が現れてくる頃、私は絶対に自分だけは大人にならない、と心の中で宣言していました。
 
 そして、社会に出てからは、自分には何ができるのか、自分の存在意義は何か、と自問自答を始め、絶望し、気分的にはどん底を味わったこともあります。そして、その時々、私は変化に対応したり、できなかったりで、精神的な不安を持ちながら生きてきました。
 
 ところで、はっこうさんの記事に、抗酸化溶液なるものがありました。万能粉石鹸えみはなる商品も出ているようですが、これを製造販売しているのは有限会社エコットです。不思議なバケツ「いきいきぺーる」と言うものもあります。会社紹介の記事には、オタマジャクシが蛙にならないで八ヵ月後に泳いでいる写真が載っています。恐らく本当に変態しないのでしょう。それが小鳥の囀りの聞えない春(レイチェル・カーソン)でなければよいのですが。
 抗酸化と言う働きは、変化の原因である、酸化を抑える、抑制する、防止するなどが作用のようです。確かに、ワインも酸化してしまうと味が落ちる、と言いますし、皮を向いた林檎も赤茶けてくると、美味しさが激減します。濡れたままにしておくと、鉄製のスコップは赤錆を生じ、長い年月放置しておくと、ぼろぼろになって使えなくなります。他の金属も酸化して、分解されてゆきます。
 ちなみに、英語版の酸化の定義は、分子、原子、或いはイオンによる電子の喪失(放出)であるようです。(Oxidation describes the loss of electrons by a molecule, atom or ion.) 反対の概念が還元で、電子の取得であります。この抗酸化溶液を効果的に使えば、病気を直し、老化も防げるかもしれない、と言うことが暗示されています。もう少し、こちらははっこうさんの人体実験の結果をお待ちする以外に手はなさそうです。
 
 話を、ピーターパンに戻しますが、ピーターパンでいたいと考える人間は、意外に多いのではないかと思います。想定内の変化だけを相手にして生きていたい、と言う願望が強いのではないでしょうか。もし、変化しないでいられるなら、そのままでいたいと、考えることは自然だと思われるからです。変化しないでいいのであれば、余計なエネルギーも、労力も、知力も不必要です。人間は、放っておけば七の大罪の一つに数えられるように、怠け者になる傾向が強いのです。
 しかしながら現実の社会では、艱難汝を玉にす、と言う言葉にあるように、「不可避である変化」が人間をより人間らしく、他の生物と異なるようにさせています。変化対不変化。この問題は、ゆっくりと考えてみたいと思います。
 

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にすけん

 先日は『にすけん』にお越しいただきありがとうございました。
 私は強烈な反抗期を経て、いち早く一人前の自由と責任を手に入れたいという欲求があり、大学院など目もくれず卒業を待ちわびて就職したことを憶えております。
 近年、明らかに精神発育に障害をきたした子供が傍若無人に振舞う光景が目にあまる一方で、反抗期らしい反抗期の話をあまり聞かなくなりました。
 反抗期は独立のための本能のはずなのですが、それが狂ってきているような気がして恐ろしいです。
by にすけん (2008-03-03 10:54) 

アヨアン・イゴカー

papa様、はっこうさま、旅爺さん様、ask様、にすけん様、8macky様、 nice有難うございます。

にすけん様

「反抗期は独立のための本能」と言うご見解は正しいと思います。反抗期は宛ら遠心力を得て、引力から解放されようとしている物体に似ています。引力から解放されれば、独立した衛星となることができます。遠心力が強すぎて、引力を振り切ってしまうと、宇宙空間に飛び出して、もどることはなくなります。反抗期がない、目立たない子供たちは、しかしながら遠心力を十分につけてもらっていないのではないか、と思います。近年、親或いは社会が、そういう環境を提供できていないのではないかと感じます。
by アヨアン・イゴカー (2008-03-03 23:29) 

g-life

難しいことは分かりませんが、今の親達(全部などとは思いませんが)は
モノ分かりが良すぎるような気がします。
ちょっと口うるさくて、頑固な親の存在から、子供が自我を通して行く戦いの期間があり、様々な形で精神的な親からの決別があったりして、
反抗期ごとに組んずほぐれつしながら、子供は自立の道を、親も子離れの道を進んでゆくのではないかと思います。
でも、そのような波風は、親が子供の顔色をうかがうような時さえあるような
自信のない親や、全く関わりを持たない冷たい親、かと思うと虐待に走っていたり、と今までのごく普通の「親」というイメージは、かなり変化しているようです。
by g-life (2008-03-04 00:24) 

mistletoe

ご訪問ありがとうございました。
私もかなりのピーターパン症候群です。
見た目も中身もまったく成長してません。
外見は子供っぽくても中身は大人でなくてはイケナイと
思うのですがそうなれず、なりたくなく・・・の日々です。
by mistletoe (2008-03-04 17:31) 

もちろん

私の場合、10代のころは、早く社会人になりたいと願っていました。社会人になってからも、自分が変化してゆくことを願っています。ただし、老化だけは別ですが(笑)。何れにせよ、どうせ想定外のことばかりが起きるから余り過去のことや先のことは考えない、そういう気持ちで暮らしています。それって刹那主義かな?
by もちろん (2008-03-04 22:13) 

いっぷく

私は古いおもちゃを調べたりすることを趣味にもしていますが、
それだけで「あなたはピーターパン症候群ですか?」って
ブログに書き込む人もいます。

by いっぷく (2008-03-05 11:45) 

すうちい

ルドルフ・シュタイナーは「子供は7の倍数の年齢で変わる」と言ってますね。それは中学生を教えていると実感できます。14歳、中2の夏休みぐらいでがらっと変わる。そして15歳で高校受験。私は高校受験は大人への変化のイニシエーションだと思ってます。
by すうちい (2008-03-06 11:03) 

アヨアン・イゴカー

g-life様、mistletoe様、もちろん様、いっぷく様、すういち様コメント有難うございます。

すういち様 ルドルフ・シュタイナーは7年周期説を唱えていたのですか。しりませんでした。私、ちょっと考えてみて、私としてはフィボナッチ数列変化説を唱えたいと思います。誕生年、二年目、三年目、五年目、八年目、十三年目、二十一年目、三十四年目、五十五年目、八十九年目。人生には10回節目がある。如何でしょう?私は黄金分割や螺旋系にとても関心があります。生命体は螺旋型。発生、発展には螺旋の秘密が隠されていると信じています。(この、信じています、と言うのがミソです。検証しようと言う気持ちはあっても、必ずしも検証できなくてもいいのですから。)
by アヨアン・イゴカー (2008-03-07 01:05) 

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